vol.41


ライヴ会場という場は、我々の持つ
いろいろな感覚を熟成させる
樽のようなものではないだろうか?


 夏が土俵際で踏ん張る。秋に寄り切られるまいと、つま先立ちになりながらも踏ん張っている。
 ツアー“Typhoon”が始まってはや一週間が過ぎ、今、鹿児島の空の下で原稿を書いている。桜島が間近に見えるビル最上階にあるライヴハウスの楽屋は、屋上に造られたプレファブの小屋なのである。自分はこの楽屋が大好き。
 洗濯物を干していたら雨が降ってきたり、昼寝していたら鳥にフンを落とされたり、いろんな想い出があります。東京から遠く離れたこの場所で、本日もロックするのが自分の使命であります。
 この“Typhoon”というツアーから、初代トロンボーンプレイヤーである霜田裕司に参加してもらっている。全箇所ではないが、大半は約4年振りに7人編成での巡業となっている。非常に良い感じのツアーだ。前任のトロンボーン奏者が脱退してから約3年9ヶ月、機は熟したと判断しての7人編成の再会。そしてその再会は驚きの連続であり、毎日のライヴが新鮮かつ喜びに満ちている。
 個人的に、音楽はライヴで聴くのが一番だと考えている。アルバムなど記録された音源は、その後に発表されるのが順番的にも正しいと思う。正しい、と言うより、美しいといったほうが良いかもしれない。ライヴという真剣勝負の場を経た楽曲が、音源という記録で残るのが美しいと考えている。それくらいライヴは、音楽家にとって重要な場であるとも考えているわけ。
 特にロック(含むパンク、ハードコア)と呼ばれる爆音で楽しむ音楽を、冷房の効いた部屋において1人、冷えたコーヒー牛乳などを飲みながら聴くよりも、汗をかきヌルッとしながら、好感や敵意を持ちながらいろいろな人たちと楽しむのが好きだったりする。
 煙草の煙は少々厳しいが、ライヴハウスは好きな場所の一つである。さまざまな価値観を持った人間たちが、その人数分だけの表現を持ち込むライヴ会場という場は、我々の持ついろいろな感覚を熟成させる樽のようなものではないだろうか? 樽木をしっかりと磨いてやって、中の酒を熟成させる。そんな作業をこれからも、できるだけ長く続けていきたい。
 晴れ渡る広すぎる空の下、太陽に顔を向けながら声を上げていきたいのである。


KEMURI 伊藤ふみお インタビュー

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