vol.39


いまだ姿を見せないヤマネコと
西表島のただただ蒼く透き通っている
空と海に乾杯。


 「梅雨が明けたぞ!」と言わんばかりに南からの季節風“カーチベイ”が吹き、ギンギラ輝く太陽の無遠慮な陽射しが肌を刺す西表島。カヤック担いでキャンプしに行ってきた。
 さて遊ぶぞ!と意気込んではみたものの、どこまでも蒼く透き通 った海と空を前にして脱力した自分は、浜の日陰に座り込み、一日中なーんにもせずに口をポカーンと開けて過ごした。干しぶどうのようだった脳が、一瞬にして殻をむいたばかりのゆで卵に変身したような気がする。今年の夏はツルテカで良し。
 久しぶりにテントやカヤックを組み立ててウキウキ。さて、ちょっと買い物をと対岸の浜を目指し漕ぎだしてみたものの、南からの風が予想以上に強くて、なかなか進まない。普通 なら30分も漕げば着くところが、いくら漕いでも景色が変わらず、帽子は飛ばされるわ、サングラス外れるわ、目的地に到着したときには思わず「話が違う! ヤマネコ連れてこい!」とごねたくなった。疲労値高し。生ビール5杯は呑みたい。そんなに飲めないけれども、それくらい疲れていた。
 大変楽しかったのであるが、大変楽しいことは大変疲労を伴うということをあらためて体感した。楽しいことは疲れる。それが“大変楽しい”となれば、疲れ方も大変である。
 自分の欲した快楽がもたらす精神的、肉体的疲弊が、予想以上に大きなものであることに耐えられずに、逃げ出してしまいそうになった一瞬。「俺は何をしに来たのだろう?」と珍妙な自問自答の後、何か釈然としなくて、また漕ぎに出てしまった自分。
 先ほどよりも荒れた海を漕ぎ進み、前を見て、前に進むことだけを考え、漕いでいた。知らぬ 間に鈍った身体と心が、漕いだ分だけ引き締まったようにさえ感じた。まことに楽しいことを永い時間楽しむことのできる自分を欲した瞬間だった。そんな自分は、ゆっくりと自分で創り上げるしかない、金銭で容易に手に入れられるものではないから痛快だ。さて、どこまで行けるのか、自分よ? 待ったなし。
 いまだ姿を見せないヤマネコと、西表島のただただ蒼く透き通 っている空と海に乾杯、とばかりに2缶目のビールを飲み干し、熱い夏の夢を見て熟睡。コレで良いのだ…。


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