vol.34


 
赤、青、黄色、そして白。四つの色が喧嘩を始めた。
 理由は誰もが皆、自分が一番綺麗な色だと主張するからである。そこで仲介役を買って出たのが黒。「みんな喧嘩を止めるんだ。僕たち黒色が一番綺麗な色を決めて上げるからさ」と、皆を真っ黒に染め上げて「一番綺麗で平等な色は黒です!」と高らかに宣言する。世の中から色が消え去り、漆黒の闇の中で我こそは一番綺麗な色だと主張していた4つの色は喧嘩を止め、黒を打ちのめし、お互いの色の綺麗さを認め合う。すると、あら、まぁ、不思議なことに、赤と青から紫色が、青と白からは水色が、黄色と赤からはオレンジ色が生まれといったように、世の中は今までになかった美しい色で彩 られる。
 この『4つの色の歌』は、自分が小学校3年生の時に学芸会で出演した演劇である。僕の役は、ふだん人から見向きもされない虐げられた色である“黒”だった。台本を渡された時も「黒ダッテー!」と、女子には笑われ、男子には気の毒がられたが、何を隠そう一番セリフの多い主役は“黒”だった。
 僕にこの役が廻ってきたのには理由があった。自分が通 っていた学校は、奇数学年が学芸会で演劇をやることになっていた。1年生の時に、『象の鼻はなぜ長い』という劇に猿(限りなく脇役に近い存在)で出演することになっていた自分は、本番一週間前に麻疹にかかり、練習ができなくなった。脇役でも一生懸命に練習していながら、麻疹という不本意な病魔に倒れた自分を気の毒に思った先生が、3年生の時に主役を用意してくれていたというわけである。
 個人的に、アホなゾウの鼻の話よりも、色の話、しかも悪そうな黒色という役で、しかもセリフが多いという話に燃えないわけがない悲しい性分の自分は、誰よりも一生懸命にセリフを憶え演じ、いまだに“人生でもっとも一生懸命だった時”にランクインされているほどだ。“4つの色”という自分勝手を自戒して可能性を伸ばしていった存在の対極に、“黒”という誰にも染められない存在がいた。自分は昔から、そういう感じだったのかもしれない。
 自分はこれから、もっともっと黒く、濃くなっていきたい。年齢を重ね、戦い、経験を重ねるほど、濃く、黒くなっていきたいと思う。それが歴史に対する恩返しというものだろう。子供も大人もないのである。濃いもの、黒いものに敏感な人間たちと笑い合えたら、それこそ極上である。黒が極上である。





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