vol.32


 
山を彩 る紅葉、一足早い初雪、乾燥した空気、いろいろと慌ただしい晩秋。
 北海道ニセコに住みスキービデオを制作している友人が、新しく発売されたビデオのお披露目パーティを原宿でやるというので出かる。人混みをくぐり抜け、肌寒い空気の中を歩いているうちに、迫り来る季節への期待が高まってくる。去年は良い感じで滑れなかったあそこを今年はやっつけるぞ、とか、遅まきながら足腰鍛えるか、とか、今年は一体どんな風景に「ウーン!」と唸らされ、想像を絶した快感を味わえるのだろう、とか、いろいろと考える。
 友人たちの創ったビデオ『ruwe 2』には、良い顔をした人間たち、格好良い滑り、良い時間の流れが満載で、自分が東京にいることなど、つい忘れてしまいそうになった。2メートル四方の白いスクリーンの中、まるで潮が体の芯まで染み込んだ波乗りが波間を駆け抜けるように、極上の粉雪の上を滑り降りていく友人を見て、憧れとも嫉妬とも、むしろ夢見気分にさせられたのは、自分だけではないと想う。普段、人に見られるばかりの状況にある自分の心を刺激し、いや、解放してくれた最高の時間だった。
 海も雪山も、ありとあらゆる生命体は水によって潤され、その潤いは一ヶ所に留まることなく循環する。循環している間中、それは喜びという形なき普遍となる。たとえば、人生をある一つの旅とするならば、仕事はそれを彩 り豊かなものにする方法だ。ある人は飛行機を選択し、ある人は電車。また、ある人は自転車と共にする時間を貴び、ある人は歩くことによって自分の足を励まし、いじめる。どんな方法だって良い。ただ、ただ、楽しむことは体や精神を潤し、艶を与える。笑ってんのが好きだ。音楽やって、スキーやって、酒呑んで、喧嘩しても、笑ってんのが好きだ。そんな感じが良い。自分の結婚式で誰よりも号泣するのも、カラオケで熱唱するのも、すべては幸福でいるための解放である。町中のライヴハウスでも、大自然の中でも、そこら中で解放したいものだ。
 原稿を書くと腹が減る。本日の夜食、チャルメラ・ネギ油入り。湯気立つ茶色のスープを見つめればさ、聞こえるさ、ラッパの音が。





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