vol.26


 
月山、鳥海山、火打山など、この冬の休みの間にたくさんの山に登り、たくさんの汗と笑いで僕の心はビリビリと痺れっぱなしであった。どの山も極上だったのだが、中でも印象に残ったのは秋田県と山形県の県境に位 置する鳥海山だった。
 鳥海山は日本海を西側に見下ろす独立峰で、そのなんとも孤独な佇まいは男心をくすぐるのに充分であり、その頂上から見る、これまた日本海にぽつんと浮かぶ飛島という小さな島は、想像力を否が応でもかきたてる何かを秘めた不思議島なのである。
 海抜2,300メートルに位置する鳥海山の頂上と、海抜50メートルに位 置する飛島の高台に鉄塔を建て、その鉄塔間に滑り台を作る。僕は飛島をカヤックで出発し、日本海を渡り上陸。そのままスキーを担いで鳥海山の麓まで行き、そこからスキーを履いて頂上を目指す。頂上についたらスキーを脱ぎ、身ひとつで滑り台を使い、飛島目指して大滑降するのである。概算でも数キロメートルは滑り降りられるので、そのスピードたるや物凄いものになる。
 その一回キリのスピードを楽しんだら、鉄塔も滑り台も撤去。うーん、現実と非現実との狭間を適当に行き来しながら、僕は満足していた。この鳥海山と飛島、以前、札幌行きの飛行機の中から見て「あの山の頂上からあの島を見てみたいなぁ」と夢見ていたので、その喜びはひとしおだった。
 きらきら光輝く海を後にした僕は、ぎらぎらと首筋を照らす照明の光の渦の中に身を浸している。『emotivation tour vol.2』は湿った、熱い空間で、日々ライヴが行なわれている。たくさんの山を登り、体力増加を自負していた自分をあざけ笑うかのように、容赦なく体力を奪っていく。“どうなってんだ、こりゃあ?”と思ってみても、流れ落ちる汗が止まるわけでもなく、硬直するフクラハギが柔らかくなるわけでもない。
 できると思っていたことが全然できない日々になっている。上等である。天の邪鬼な自分。その自分の感性をビンビンに震わせる日々が続いている。現場で汗を流し、熱気に息詰まりながら音楽を体感する。それが極上である。
 梅雨入りした九州のある晴れた一日を心から楽しむが良し。





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