vol.24


 
悲しくもないのに涙が出そうで、恋もしていないし熱もないのにボーッとしてしまう。杉花粉が僕の鼻腔をくすぐり、春の訪れを予感させる。花粉症というのは、都会にいるとき一番症状が重く、いろいろな木々が生い茂る山にいるときは比較的軽い。なので、過敏な粘膜をさまざまな粉塵から守ってくれる、雪降り積もる山へと出かけるが吉。
 誰もいない雪山を、なんとなく一人で歩いたり滑ったりしたくてテレマークスキーをやっているわけだが、これがなかなか上達しない。そもそも30の手習いであるから、上達するまでに時間がかかるのは当然の上に、なんだかんだと理由をつけて、すぐに“コーヒーブレイク”をとってしまうために、初級者をいつまでも脱出できない自分が忌まわしい。でも、まぁ、楽しいから良いかなと思って、ちんたら滑っている。
 山へ入っていくための練習の場としてスキー場に通 っているが、この公共施設がくせ者である。ガンガン流れる流行歌、不味くて高価なメシ、好意的に見れば純朴な従業員たち。質の悪い冗談のように創意工夫のない空間、あまりに無理矢理な商売。太平の世の中だから存在し得るこのスキー場も、地元の人たちにとっては非常に重要な冬の産業なのだから、もう少しなんとかならないものか? 都会大資本の刹那的好奇心に基づくリゾート開発が産み落とした、いろいろなドラマを興味深く眺め感心しつつも、日本という島国が抱える、さまざまな問題点の縮図を目の当たりにしているようで、少々お寒い気にもなる。
 誰もいない山を登り、まだ誰も滑っていない大斜面 に降り積もった粉雪の上を思う存分滑り、また登り返して滑り降りる。そんな僕の持つ夢の実現も、スキー場の整備されたゲレンデから始まっているのは事実なので、あまり文句は言うまい。夢は、僕を勇気づけも絶望させもするが、確実に僕を成長させてきた。僕にはまだたくさんの夢があり、それを実現するために使う時間は限られているのだ。
 さぁ、休憩終了。滑って、転んで、風呂入って、夢見ながら今夜も眠ろう。





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※SAへのバンド出演依頼 、タイセイ(SA)含むBoo Zee LoungeクルーへのDJ出演依頼、 ブライアン・バートンルイスへのDJまたはMC出演依頼は、familiesまで。   ※本サイトへのご意見、ご感想はこちらへ