vol.20


 
いよいよ“emotivation”ツアーが始まった。
 現在、札幌と函館の2ヶ所で公演を終えて、青森でのライヴ前の時間を使って、この原稿を書いている。ライヴ前の、静かで人のいない会場のガランとした雰囲気が好きである。「期待と不安を心に抱く」という心境は、まさに今の僕の心境だろう。そんなピンと張り詰めた空気感を楽しみながら、気持ちを高揚させていく。
 札幌、函館と観客の皆が最高だった。我々のことを本気で応援してくれているのが伝わってくる中でライヴができるのは、ミュージシャンにとって「至上」の喜びだ。彼らの真剣な眼差しからミュージシャンが享受する力は、数字では到底計り切れないばかりか、数字を求め、数字に右往左往していることが、どれほど愚かしいことかも教えてくれる。
 Kemuriの初期と比べれば、客層にも変化があると思う。女の子が増えたのは事実だし、ライヴ中のダイブを嫌う人たちも増えた。レス・ザン・ジェイクやスカンキン・ピックルは知らないがKemuriは大好きだ、という人もいるだろう。いろいろな人たちがやって来ては去り、去っては戻ってくる。そんな感じで7年間の活動は続いていった。
 現在よりもはるかに少ない宣伝で、はるかに少ない情報を頼りにライヴに足を運んでくれた人たちも、ラジオやテレビで流れる僕たちや、雑誌を見てライヴに来てくれる人たちも、その眼差しの真剣さには、なんら変わりはない。いつの時代も、観客の人々は我々がどこから来たのかを思い起こさせてくれ、ステージをうらやましげに見つめる一観客だったころの自分を思い出させてくれる。そして、いつも僕たちを最高の気分にさせてくれるのである。
 いいなぁ、ツアーは。ライヴはいいよなぁ。宿に帰って風呂に一人浸かりながら、そうつぶやく。20代のころにあったガムシャラなパワーはもうないが、これからは30才代の音楽の楽しみ方、ライヴの楽しみ方を追求していくのみだなぁ。カズも全日本に復帰しないかなぁ。頑張ろうぜ、30代よ!
 晩秋へと突き進む北日本を今日も車で爆走し、楽しいなぁと皆で爆笑するのが良し。
 笑いじわの増えるのが良しなのである。





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※SAへのバンド出演依頼 、タイセイ(SA)含むBoo Zee LoungeクルーへのDJ出演依頼、 ブライアン・バートンルイスへのDJまたはMC出演依頼は、familiesまで。   ※本サイトへのご意見、ご感想はこちらへ