vol.17


 
容赦なく照りつける太陽を満喫しようと、沖縄へと向かった。慶良間で、カヤックを漕ぎまくるのである。
 僕らが向かった慶良間の海は、台風の影響が若干残っていたものの相変わらず美しく、コバルトブルーに光り輝く透き通 った海と真っ白な砂浜は、それだけで夢心地にさせてくれるのである。組立式のカヤックをゆっくりと組み立て(久しぶりに組み立てたので時間がかかった)、昼飯を食べて、無人島へと漕ぎ出したのだった。
 最初はひと漕ぎ、ひと漕ぎと水を捕らえる感覚を確認しながら漕ぎ進んでいく。少々風が出てきて、うねりが高くなってきたのだが、組立式のカヤックは波の力を吸収するように柔軟に進んでいく。この季節に吹く南からの風を、土地の人たちは「カーチベー」と呼ぶ。一際、波が立っている場所を通 過しなくてはならなくなった。島と島の間の細い場所で、カヤックは一艇ずつしか通 過できない。失敗したら岸に叩き付けられるか、尖った珊瑚の山の中に放り出されるか。どちらもイヤなので慎重に漕ぎ進んだ。寄せる波に乗ってしまわないように操縦して、なんとかその場所を切り抜けた。すると、先ほどまでの風とうねりが嘘のように静かで、がらりと表情を変えた慶良間の海がそこにはあった。激しい曲のあとに、ゆっくりなインストゥルメンタルの曲をやったときの、観客のポカンとした表情を見ているようである。
 無数の貝殻が転がっている真っ白な浜辺で、僕たちはキャンプをした。ある人は貝を拾い、ある人は魚を釣り、ある人は酒を飲んでいた。僕は偶然にもアオリイカを釣り上げた。透き通 るその体の中でグリーンメタリックの内蔵が光り輝いていて、どう見ても遠く離れた星からやって来た宇宙生物のようにしか見えなかった。
 その日僕たちは、その「宇宙生物」に舌鼓を打ち、ほかに誰もいない、ウミガメの足跡が点々と残っているその浜で笑い、語り、口を開けてぐっすりと寝たのである。
 夜空の星は、ただ、光り輝くのみだった。





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