VOL.9

 上京前兄と住んでる頃、確か「プログレ名曲集」みたいなタイトルのカセットテープが部屋にあった。そのテープは兄の友人が自分の好きなその手の曲を網羅して作った所謂「個人的に楽しむなど以外の複製を禁じます」に対する「個人的に楽しむからオッケーでしょ」タイプのオリジナル・オムニバステープだった。で、まあ家にあるし適当に聴いていたわけだが、やはり当時の私の好みではなかったのでその良さも分からず、通 して聴くことをせずにほったらかしていたこともあったのだが、たまたま最後まで聴いたとき(というか寝ながら聴いていてはっと目が覚めたのだが)とんでもなくカッコイイと感じる曲が入っていた。優しいメロディー、穏やかな声、淡々とシンプルな楽器。そのカセットのインナーに記載された兄の友人の手書きクレジットは、たしか曲名しか書いて無くてアーティスト名が分からなかったので、当然そのとんでもなくカッコイイ曲の演奏者が分からない。しかもその曲にかぎってタイトルも書いてなかったので何も分からなかった。そして勝手にピンクフロイドかキングクリムゾンかどっちかだろうと決めたまま5年が経った今年の正月、奇跡は起こった。マネージャーと飲んでるときにプログレ云々という話題になってその曲のことを思い出して 「あ、そうだ、この曲知ってます?」といってメロディーを歌ったら「あー、ELPのラッキーマンだろ!?」と即答されて五年越しの耳垢がごっそりとれた気分になった。エマーソン、レイクアンドパーマーというそのバンドがどれだけカッコイイか27年間知らずに(一曲分は知ってた)生きてきたことを悔いた私は遂に先日ベスト盤を購入した。全作を年代順に集めるのではなくベスト盤であること、そして値段も手頃な輸入盤というのがまた自分らしいとかなんとか思いながら、でも一番の目当ては「ラッキーマン」なのだし、実際一曲目にズバーンと収録されてるし良かった良かった。デジタルリマスタリングを施され、素晴らしい音像となった心の名曲。あの部屋で聴いたチープなカセットの方が良かったような気がしないでもないが、やはり素晴らしい曲だ。曲名もアーティスト名も分からないけれど忘れられない曲って誰でも有ると思う。でもずーっと忘れずにいたらその内会えるのかななんて思ったりした。

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(03.02.03更新)

※SAへのバンド出演依頼 、タイセイ(SA)含むBoo Zee LoungeクルーへのDJ出演依頼、 ブライアン・バートンルイスへのDJまたはMC出演依頼は、familiesまで。   ※本サイトへのご意見、ご感想はこちらへ