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イトウフミオ/ケムリのヴォーカル兼リーダー。高校時代をアメリカで過ごす。95年にケムリを結成。“PMA(Positive
Mental Attitude)=肯定的精神姿勢”をポリシーに活躍中! |
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●vol.24●
悲しくもないのに涙が出そうで、恋もしていないし熱もないのにボーッとしてしまう。杉花粉が僕の鼻腔をくすぐり、春の訪れを予感させる。花粉症というのは、都会にいるとき一番症状が重く、いろいろな木々が生い茂る山にいるときは比較的軽い。なので、過敏な粘膜をさまざまな粉塵から守ってくれる、雪降り積もる山へと出かけるが吉。
誰もいない雪山を、なんとなく一人で歩いたり滑ったりしたくてテレマークスキーをやっているわけだが、これがなかなか上達しない。そもそも30の手習いであるから、上達するまでに時間がかかるのは当然の上に、なんだかんだと理由をつけて、すぐに“コーヒーブレイク”をとってしまうために、初級者をいつまでも脱出できない自分が忌まわしい。でも、まぁ、楽しいから良いかなと思って、ちんたら滑っている。
山へ入っていくための練習の場としてスキー場に通っているが、この公共施設がくせ者である。ガンガン流れる流行歌、不味くて高価なメシ、好意的に見れば純朴な従業員たち。質の悪い冗談のように創意工夫のない空間、あまりに無理矢理な商売。太平の世の中だから存在し得るこのスキー場も、地元の人たちにとっては非常に重要な冬の産業なのだから、もう少しなんとかならないものか? 都会大資本の刹那的好奇心に基づくリゾート開発が産み落とした、いろいろなドラマを興味深く眺め感心しつつも、日本という島国が抱える、さまざまな問題点の縮図を目の当たりにしているようで、少々お寒い気にもなる。
誰もいない山を登り、まだ誰も滑っていない大斜面に降り積もった粉雪の上を思う存分滑り、また登り返して滑り降りる。そんな僕の持つ夢の実現も、スキー場の整備されたゲレンデから始まっているのは事実なので、あまり文句は言うまい。夢は、僕を勇気づけも絶望させもするが、確実に僕を成長させてきた。僕にはまだたくさんの夢があり、それを実現するために使う時間は限られているのだ。
さぁ、休憩終了。滑って、転んで、風呂入って、夢見ながら今夜も眠ろう。
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