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イトウフミオ/ケムリのヴォーカル兼リーダー。高校時代をアメリカで過ごす。95年にケムリを結成。“PMA(Positive Mental Attitude)=肯定的精神姿勢”をポリシーに活躍中!

●vol.23●

 節分の豆まきで鬼には出て行ってもらい、代わりに福を家に招き入れた。
 “emotivation”ツアーが無事に終了し、今回もたくさんの喜びと課題を手みやげに帰京した。1月の公演を一緒にまわったStab 4 Reason & the Stylesのライヴは、どれも非常に素晴らしく堂々としたものだった。観客の大半は、どう体を動かしたらば良いのか戸惑っているようにも見えたが、曲が終わるごとに会場から起こる歓声と拍手の大きさが、すべてを物語っていたように思う。バンドごっこをやっているだけでは決して滲み出すことのない説得力と迫力、その破片を見せてくれたStab 4 Reason & the Stylesから僕が学ぶものは、たくさんあった。尊敬と敬愛の念を込めて拍手。
 さて、ライヴ活動が一段落ついたらば遊ぶ。口空けて鼻水垂れんばかりに遊ぶのである。真剣に遊ぶ。
 北海道でのライヴ後、友人たちとニセコに遊びに行った。友人と言っても、大先輩夫妻と犬3匹と我々。誰も来ない秘密の雪原をスキーで歩きながら、40年近くも前に移り住んだ当時のニセコの話などを聞いた。水道もガスも電気もない場所に山小屋を建てて暮らしていたこと、スキー場に彼ら一家4人しかいないときがあったこと、彼らの歩んできた道の険しさと反比例するかのように穏やかな笑顔に驚き、そして、彼らのスキーの腕前にさらに驚いた。
 外見は普通の人だが、その中身は濃く、深い。夢と現実を両方意識しながら真剣に生きている人々に出会うと感動するものだと、あらためて思う。3匹の犬たちは、僕よりも遙かに大胆に雪の中へ突っ込んでいき、小川を飛び越え、葉の枯れ落ちた白樺の梢を孤独に突っついているカッコーに向かって吠えかけていた。
 僕たちは缶ビールを回し飲み、「美味い!」と、粉雪舞い落ちてくる空に向かって吠えた。生きている間にもっと泣き、笑い、喜び、そして怒り、心をビリビリと振動させていたいものである。すべてのものが停止してしまっているようにも見えるこの雪の大地で、僕の心が何かに共鳴し、生きていることを実感していた。




●イトウ フミオ『開拓記』VOL.1〜12が読みたい方は、ヤマハミュージックメディア刊『Band style』'00年5月号〜'01年4月号をご参照ください。バックナンバーの入手方法は、http://www.ymm.co.jp/magazine/bandstyle/backnumber.html まで!