●はい。では後半です。好きなアーティストに関してのことなんですが。
「よく、“好きなアーティストは誰ですか?”って聞かれるんです。ミュージシャンを挙げたりするんですけど、マンガ家だったり、俳優にもアーティスト性を感じる人がいるじゃないですか。映画界で言うと、ヴィンセント・ギャロっていう人なんですけど。あの人って、音楽もやって、映像も作るじゃないですか。僕、マルチなアーティストって、あまり成功しないっていうイメージがあったんですけど…。それが、すべてできてしまっている人だなぁと思って、すごく好きなんですよ。憧れます。自分が、ギター以外のことを考えたとしたら、すごくおろそかになってしまうと思うんですけど、そうなりたいなと。そういうアーティスティックな部分は、磨いてもできないかもしれないんだけど、大事にしたいですね」
●映画も良く観るんですか?
「すごくたくさんは観ないですけど…。あの、『時計仕掛けのオレンジ(スタンリー・キューブリック監督/1971年作品)』とかも、スゴイですよね。僕らが生まれる前の作品なのに、今観てもスゴイなと。面 白いというよりは、“何でこんなストーリーなの?”っていう感じで、惹き込まれますよね。スゴくないですか、自分が生まれる前のモノを見て“スゴイ!”と思えることが。『AKIRA(大友克洋原作・監督/1988年作品)』もそうです。高校生のときに初めて観たんですけど、俺が小学校のときに作られたということが、スゴイなと。今まで観たアニメの中で、一番面 白いと思いましたよ。大友克洋の作る、『ジャパニメーション』っていうんですか。サントラもすごく良いんですよ。最近も『パーフェクト・ブルー(今 敏監督/1998年作品)』を観ましたよ。『GHOST IN THE SHELL〜攻殻機動隊〜(押井守監督/1995年作品)』も好きです。『マトリックス(ウォシャウスキー兄弟監督/1999年作品)』の監督は、『GHOST IN THE SHELL〜攻殻機動隊〜』に影響されて、あの作品を作ったじゃないですか。そういうものを、日本が世界に送り込んでいるというのはスゴイなと思うんです」
●では、マンガ家だと、誰がスゴイと思いますか?
「荒木比呂彦っていう、『ジョジョの奇妙な冒険』っていうのを描いてる人です。小学校のころから好きだったんですけど、最近、また読み出したんですよ。でも“懐かしいな”という気持ちにはならない。色あせないというか、常に新しいなっていう感じなんです」
●今も連載は続いてますよね。
「続いてます。でも、ストーリー性が落ちるワケでもなく…。どこからこんなアイデアが沸いてくるんだろうと。そういうところがスゴイですよね」
●その人が描いたモノだけじゃなくて、その人自身にも興味がわくと。
「わきますね。“この人はどう考えて、こういうものを出したんだろう”っていうことを考えると、もう“?(ハテナ)”なんですよ。僕、“?(ハテナ)”が多いんですよね。それで、眠れなかったりもするんです(笑)。人と違うところを見ているのかもしれないから、それは良いところだと思ってるんですけど…。だから、単純に好きなアーティストって言っても、別 に音楽だけじゃないです。絵を見て、曲を想像することもあるし。『ファイナルファンタジー(大ヒットRPG)』の天野喜孝さんの作品を見てると、すごく曲が出てくるんですよ。あの絵を見ると、『ファイナルファンタジー』の音楽が浮かぶ。そういう人にはすごく憧れます。  あ、あと、マンガ家だと、楠本まきさん! 絶対、俺に影響はありましたから。DEI KUSSE(『KISS××××』に出てくる主人公のバンド名)は絶対的にあったと思います(笑)。高校のときに読んだんですけど、美的センスの部分で、イイなと思うのは、やっぱり楠本さんの作品ですね。僕、たいてい持ってますよ」
●ちなみにですね、今回、キーワードに中に、マンガが入っている人は、いつのまにか“好きなマンガベスト3”を揚げてもらうことになってるんですけど…(笑)。
「ベスト3! イイじゃないですか、それ。あ〜、でも決められないものですね〜。ベスト3と言っても、全部1(ワン)なんですけど、やっぱり、『ジョジョの奇妙な冒険』。あと『うしおととら(藤田和日郎作品)』と、『KISS××××』ですね(笑)」
●楓弥さん自身、音楽以外のことで、何かを表現したいという願望はありますか?
「音楽でというのはありますね。例えば、絵を見て曲が浮かぶということがあるじゃないですか。自分の場合はそうじゃないくて、曲を聴いて絵が浮かぶということをやりたいんです。以前、『彩 』というミニアルバムを出したときに、『幻惑の情景』で“冬”、『眩暈』で“秋”、『神謌』で“夏”…ということを表現したじゃないですか。そのとき“俺はコレだ!”って思ったんです。そういう部分が、自分が影響を受けたアーティストからもらったものであり、自分のなりたいと思うものなんだと思ってます」

●“ローディー”ということなんですが…。大変なお仕事ですよね。
「いつもまあ、お世話になっている方ですよね。ローディーって、自分でやったことはないんですよ。一志がやっていたのを見たり、デュール・クォーツの手伝いはしたことがあるんですけど…。ローディーをやる人って、僕はある意味、尊敬できるなと思って。自分もバンドやりたくてやっているけど、自分がギターをやりたい気持ちを抑えて、人のライヴを見ていろいろ研究をしたりながら、怒られつつもやってるワケじゃないですか。ローディーはメンバーにとって、欠かせない存在なんだということを、言っておきたいんですよね。お客さんからしてみたら、ただ名を上げるために修行してる…、みたいに思うかもしれないですけど。ローディーも重要なことをやってるんだよっていう」
●ちゃんと、ローディーは仕事として成立しているものでもありますからね。
「ありますよね。お客さんは、たいていアーティストに目がいくじゃないですか。まぁ、それはそれでイイかなとも思うんですけど…。楽器の音が出なかったら、やっぱりローディのせいになってしまったりするんで。ファンの子だと、ローディは大変なんだよっていうことが、わからないかなということで、ここで言っておこうかなみたいな(笑)」


●楓弥さんにとって“宇宙”とは?
「よくファンの子に、“ライヴ中、どこを見てるんですか?”って手紙をもらうんですよ。インストアイベントでも聞かれるんですけど…。いつも“宇宙(コスモ)”を見てるんですよ(笑)。僕のまわりは、小宇宙なんです(笑)」
●周りの情景は見えてるんですよね、当然(笑)。
「見えてるんですけど…。その不思議な空間を、“宇宙(コスモ)”に例えてるんです」
●具体的にいうと、どういう感覚なんですか?
「よく、“イっちゃってる”とかいう表現を使うじゃないですか。まぁ、カッコ良く言えば、そういう状態なんですけど…。よくわからない状態なんですよ、実は。説明のしようがないんです。冷静でもないし、テンションは絶対に上がってるし。だから自分的には“宇宙(コスモ)”かなと(笑)。いっぱい人格がいるような感じなんですよね。お客さんはもちろん、目に入ってるんですよ。でも、頭に入ってないというか、頭にあるのは、お客さんから見た、自分の姿だったり…。“宇宙”って、ある意味わからないじゃないですか。その先がどうなっているのかとか。そういうことで“宇宙”って言ってます」
●“宇宙”そのものに、興味ありますか?
「ありますね。“宇宙”を考えるのは好きですね。“どこまで行ったら終わるんだよ?”とか。よくあるじゃないですか。漢字でも、“コレ、何でこう書くんだろう?”みたいな(笑)。漢字だったら、ある程度意味を考えればわかるんですけど、宇宙って誰もわからないじゃないですか。それを考えるのが楽しいんですよね」


●これはファンの子についてのことですか?
「よくライヴ中ってあるじゃないですか。前の子を誰かが押したとか、イタイとか(苦笑)。そういうのって、自分が経験してないから、何も言ってあげられないんですよね。どっちが悪いとも言えないし、難しいんですよ。でも、言っておきたいなというのがあって。僕、よく“冷たい”とか言われるんですけど、そんなことはないんですよ。やっぱりファンの子は大切だし。自分の音楽を好きで来てくれるというのは、ありがたいことだし…。でも、だからと言って、“ゴタゴタがあって最前に行けません”とか言われてしまうこともある(苦笑)。僕らが良いライヴを作ろうとしているように、お客さんはお客さんでひとつになろうよと。小さいことじゃないですか」
●確かに。
「そういうことがあると、僕もヘコむし。例えば、自分が、良いライヴができたと思ってるじゃないですか。でも、その日のアンケートとか手紙を見て、“楽しめませんでした”というのがあると、やっぱりショックです。カグラのライヴで、自分は楽しいけれど、メンバーが楽しくなかったら、良くなかったんだなと思うのと同じですよね。そういう、言えないことを言ってくれるのは、嬉しいんですけど。誰かがライヴを良くするんじゃなくて、自分も関わって、一緒にライヴを作ろうよって思うんです。仲悪い同士、仲良くしろとも言わないですけど、一緒に良いライヴをしようよっていうのは思ってるんで、冷たいなんで言わないでください(笑)」



●最後はやはりカグラですね。
「カグラ…で、何を話せばいいのか、いろいろなことをたくさん話したので、わからなくなっちゃったんですけど(笑)。まあ、自分がギターを始めたのも、SUGIZOさんに憧れたということがあったんで、やっぱり夢としてはそういう存在になりたいですね。SUGIZOさんになりたいわけじゃないんですよ。自分を見て、ギターを始めてくれる人がいたらいいなと。“俺もプロになるんだ”という、夢を見てくれたらいいなと。“やっぱり、ロックスターになりたい”というのは前提にあって、個人的にはカグラで東京ドームをやりたいなと。行ったことないんですけど(笑)」
●どうして東京ドームなんですか?
「中学のころにルナシーとか、ラルク アン シエルがやってたんで(笑)。でも、そこが大きい通 過点のような気がするんですよ。渋谷公会堂でやるということも、難しいことかもしれないんですけど。まあ、東京ドームが一番わかりやすいかなと(笑)。それで、いつかはイギリスでやってみたいです」
●それは、どうしてですか?
「スマッシング・パンプキンズのギターの、ジェームス・イハって、日系人なんですよ。イギリスのUKバンドで、あんなにチャートインしてるバンドのギターが、日本人ってスゴイなと思って。僕、ブリティッシュ・ロックの音が好きなんですよ。カグラの音って、ギターが2人いるから、そういうニュアンスが出ちゃうのかもしれないんですけど、よく、オルタナティヴっぽいとか言われたりするし。カグラでも、いつかそういうところでレコーディングしてみたい(笑)。ビートルズやオアシスが録ったところで、録ったりとか。そういうファン精神みたいな部分は、忘れないでいたいですね」
●そうすれば、いつまでもファンの子の気持ちも理解できますよね。
「僕、バンドキッズの気持ちはわかると思ってるんですよ。真もですけど(笑)。やっぱり、自分が『BANDやろうぜ』を読んでた、キッズだったんで。“やっぱり機材載ってるのってイイな”とか(笑)。あとは、女の子の気持ちがわかればいいんですけどね…」
●やっぱり、女の子の気持ちは難しいですか(笑)?
「わかんないですね、難しいですよ。ファンの子でも、何でも、女の子の乙女心は、ホント難しいです。女心についても、“?(ハテナ)”ですね(苦笑)。
 でも、みんなも言ってると思うんですけど、一歩一歩、次のライヴ、次のライヴでどんどん良くなっていけば、スゴイことになってるハズですよね。先を見すぎて、こうなってれば良いなという感じで、消化ライヴをしていたらそのままだと思いますから。今回のレコーディングでも思ったんですけど、僕ら、ネタ尽きないですよ。やりたいことが、いっぱいあるんです。『煌』はロック色が強いとはいえ、次がまたロックになるとは限らないし。だから次も、その次も、楽しみにしてもらいたいです」