11曲を選んだんじゃなくて、ホントに
最初からギリギリで全部で11曲


●今回のアルバムを作るに当たって、こういうものにしたかったとか、ここをこういうふうにしたかったとか、そういうテーマとか課題はあったんですか?
峰田「アルバムを聴くと一気にバーッと聴けるけど、作ってるほうは1曲1曲に時間かけて作るわけじゃないですか。で、そのときに1曲ごとのテーマがもうあって。でも今聴くと、それは結構統一されてるんですよ。そのイメージは、みんなで大勢で踊ろうよ、歌おうよっていうわけでもないんですよね。どこか寂しいイメージもあって、生臭いというか血生臭いところがあって、演奏も緊張感っていうかギリギリっていうか。そういうのがすごく出したいなっていうのは、前からありました」

●できたけどアルバムには収録されなかった曲もあります?
峰田「11曲を選んだんじゃなくて、ホントに最初からギリギリで全部で11曲。っていうか、20曲も作って11曲が入るんだったら、残りの9曲はもうそのアルバムには入らないってことじゃないですか。そんなこと俺、かわいそうで、できないッス。アルバム未収録みたいな感じでシングルに2曲とか、それはそれでいいかもしれないけど、アルバムに入れるつもりで作っといて、全部できてからアルバムに入らないっていうのは、ちょっと俺的に違う。今回は、11曲作って、レコーディングの前にもう曲順も決めたんですよね。だから、なるべくして…。完璧だったなぁって」
村井「全体でこういう感じにしようっていうのはなくて、1曲1曲…なんて言うんだろうな…。まず1曲、次この1曲、みたいな感じなんですよ。で、出てきたのが、この11曲っていう」

●曲順通りに録ったわけではないですよね?
峰田「ないッス。時間かけられないから。期間が限られてるから、なるべく簡単に終わるやつからガーッと録って」

●全体像は自分の中だけでわかってるって感じで?

峰田「そこらへんも課題だなぁ。やっぱり俺、録りたい曲順とかあるもん。できるなら曲順通り録っていきたい、ホントは。あ、それだ。新しい発見だな、今日の(笑)」
村井「俺も」

23年間の人生で自分が書いたもんじゃ
ないスか、積み重ねっていうか


●ちなみに頭の中にメロディとか詞が浮かんだとき、これは何かに似てると思っても、そのままやっちゃうんですか?
峰田「すっげぇ似てるとこ、いっぱいあると思うんですよ。『カントリー・ロード』とか『蛍の光』とか。でも、それは俺の頭の中で流れてくるものだから、それを作り変えたくないというか。だから、パクリって言われようが全然関係ないです。そんなこと言ったら、ヒップホップとかは何なんだ、みたいな話になるじゃないですか(笑)。なんか、そういう聴き方してないんですよね、自分が。この曲のこの部分があの曲に似てたなとか、逆に面白いというか。あまり深く考えたことないですね」

●ユーミンとか、言われました?

峰田「『銀河鉄道の夜』ですか? 俺、ユーミンじゃなくて、別の人かなと思ってたんですよ。ほかにも似てる曲があったんです。似てる曲が2曲ありました」
村井「メンバー間で“あ、似てるねぇ”って話になって“アハハ〜”で終わりましたけど。俺なんかは、ナニナニに似てるとか知らなくて“すっげぇいいメロディだねぇ。いいね、いいね”とか言って、それで終わりです」
峰田「ただ、ユー ミンにしろ、ほかのにしろ、そのメロディが一緒じゃないですか。でも細かい話をすると、そこに来る前にAメロがあってBメロとか。その流れで考えると、もうあの曲は『銀河鉄道の夜』のようでしかないんですよ。だから何の問題でもないっていうか、それ以外に考えられなかったから」

●自分で意識してる、影響を受けた作家とかいますか?
峰田「ないッスね。好きな人は、いっぱいいますけど。でも『さくらの唄』っていうアルバムタイトルは、安達哲っていう人のマンガから取りました。でも、ある曲を作ろうとしたときに、そういう詞を書けるような本を読むとか、そういう作業はしないッス。『銀河鉄道の夜』を作ろう、じゃあ宮沢賢治を読もう、っていうのは。もう過去に、読んできた、見てきた、食ってきた、寝てきた、いろんなものから、23年間の人生で自分が書いたもんじゃないスか。積み重ねっていうか」

ウチらは音楽ゲームには興味がなくて
その“音楽”に興味があってやってる


●今、業界からかなり注目を浴びているというか、とっくに争奪戦みたいなことになってておかしくないと思うんですけど、どう思います? メジャーに対する考えとか、あるんですか?
峰田「マジすか、争奪戦ッスか(笑)。でもインディーズもメジャーも、どっちも悪いところいっぱいあるし、良いところもいっぱいあるし。ウチらと関係ないところなんですよね。メジャー、インディーズ、いわゆる音楽業界、あと音楽系のテレビ番組は見るんですけど、それはホントいちお客さんとして…リスナーとして見るじゃないッスか。でも、自分がやってるバンドっていうのは、ホントそことは別なんスよね。だから本当に関心がないというか、そのへんにいるお客さん…普通の人と同じ感覚ですわ。“私とは関係ない世界”っていうか」

●デビューしてテレビに出たり、大金を使って宣伝したりするけど、結局ゴーイング・ステディの10分の1も売れないようなバンドが、いっぱいいるわけですよ。そういう点では、全然関係ない世界ではないと思うんですが…。
村井「セールスどのくらいとか、メジャー級の集客とかってあるじゃないですか。でも、ハタから見てるとゲームっていうイメージなんですよ。なんか“音楽ゲーム”みたいな。で、ウチらは音楽ゲームには興味がなくて、その“音楽”に興味があって、やってる。そういう意味で今は、すごくいい環境でやらせてもらってて。今の状況すべてに満足してるわけじゃないんですけど、いい環境でやれてるなぁ、と」
峰田「たまに思うんですけど、たとえばメジャーとインディーズって本当にワケわかんないッスよ。だって、自分らが対バンしてるバンドって、メジャーの会社からCD出してるバンドとも一緒にやるし。でも、もし俺らがメジャーに行くとしたら、“これからはメジャーのバンドだけと対バンしなくちゃいけないの?”とか。逆で言うと、インディーズで頑張ってる人たちはメジャーとやっちゃいけないとか、そういうのも別にないし。その境界線って、絶対ないじゃないですか。だからメジャーのバンドとインディーズのバンドも、普通に対バンやってるし。だから俺は、今のままが全然いいのかなって。今のところは」

バンドを一生懸命やったら、将来は
追々ついてくるものなのかなぁって


●たとえば自分の将来を考えたときに、結婚して子供も養っていくとか、そういうことを現実的に考えなければいけなくなったときでも、バンドで食べていきたいと思います?
峰田「あー、なんだろな〜」
村井「なんか別で考えますね。今、このくらいお金もらって、それで養っていけるのかなぁとか、そういうのはスゲー適当なんですよ。逆に、曲のことで“こういうフレーズ行きたいぁ”とか、そっちのほうが真剣。だから将来のこととかは、俺はあまり考えてなくて」
峰田「俺も、そうッスわ。漠然的なんですよ、将来っていうか。ただ、メンバーみんな一緒かもしれないんですけど、今一生懸命やんなきゃいけないのはバンドで、バンドやってると…一生懸命やったら、たぶん将来っていうのは、追々ついてくるものなのかなぁって思うし。ただ、今はホント何も考えないで、せっかくレーベルから給料もらってるわけだから、印税ももらってるわけだから、やっぱり今は集中していくしかないかなっていうか。それしかないよね、ホント」
村井「うん」
峰田「いい曲作って、いいライヴしかないよね」

●今の環境には不満がないし、今は自分のバンドの音楽をどうするかっていうのが課題であって、結果がついてきたらメジャーだろうがインディーズだろうが関係ない、という感じですね。
峰田「はい。ウチら、10万枚売るために曲を作るわけじゃ全然ないですからね、やっぱり。ただ、いい曲作って、いいライヴやった結果が、そうなってるわけじゃないですか。これからも、いい曲作って、いいライヴするし。それで、いくら売れようが、いくら入ってこようが、それはウチらは関係ないっていうか、みなさんが結果を出してくれただけで。しかも数字は結果じゃないと思うし」
村井「会社の人から売り上げ枚数とか聞いて、やっぱ自信は付くんですよ。でも、そういう何枚売れたとかも昔のことじゃないですか。あんまりこう、まだ振り返れない」
峰田「しっかり者だね(笑)。俺よりしっかり者だね」
村井「過去は振り返れないな〜みたいな感じですね(笑)」