光りなき空間に「愛の讃歌」が流れ出し、その始まりが近いことを告げる。2001年4/20、日本武道館“SOPHIA
TOUR 2001 進化論〜GOOD MORNING! -HELLO! 21st - CENTURY〜”ファイナル。常に並々ならぬ
闘志でライヴに挑む5人のサムライは、2年8ヶ月ぶりに帰ってきたこの日本武道館でも、間髪入れぬ
勢いでオーディエンスの感情を攻め立てる、入魂のライヴを見せてくれた。
まず私たちを待っていたのは、アルバム『進化論』とまったく同じ曲順で、オープニングナンバーからMCなしで13曲通
すという、これまでのソフィアにはない、驚きの展開だった。
次から次へと繰り出されていく表情の違う楽曲の数々。「銃弾」「SUNNY
DAY」「赤い青春と虫けら」といった曲では、ソフィアの持つポップな面
は影を潜め、サウンド、ライティング、映像が見事に絡み合い、ある種異様な世界にオーディエンスを引き込む。かと思えば一転、遊び心がいっぱいに詰まった「DIVE
SURFER」でメンバー一同、ゴキゲンな顔を見せる。すると今度は、繊細な質感のサウンドで、穏やかな時間が流れる「鈴蘭」へ。そんな心落ち着く雰囲気に呑まれていると、次は度肝を抜く特効を炸裂させてみたりと、前半は、絶えずオーディエンスの感情を起伏させる、“魅せる”ライヴを展開していった。
そして、一息つくようにして始まったのは、噂の吉本系ガイコツ“フクちゃん”による失笑(!?)メンバー紹介。ロックバンドのライヴに“お笑い”の要素を取り入れるとは…。ソフィアというバンドは、なんともイキなことをしてくれる。
そんなメンバーの不安(笑)とオーディエンスの期待を一身に背負ったフクちゃんが、見事に大役を果
したあとは「ゴキゲン鳥〜crawler is crazy〜」へ。“ここからはソフィアのセックスライヴを繰り広げたい”というヴォーカル松岡の言葉通
り、ファンには当然のごとくおなじみの曲を、続々と披露。これまで以上にメンバーとオーディエンスの一体感は増し、この場所にいるすべての人で作り上げる、最高の“セックスライヴ”が展開されていった。
そして、このソフィアのライヴに集まる人々にとって、欠かせない大切な時間がある。それは松岡
充の“詞ことば”が語られるときだ。17曲目にスピード感溢れる「little
cloud」を歌い終えたあと、彼はぽつりぽつりと語り始め、18曲目の紹介をこう結んだ。 |
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“俺たちはみんなの痛みを分かち合ってあげることはできないけど、もしもくじけそうになったり、塞ぎ込んでしまって一歩を踏み出せなくなったら、今日の風景を思い浮かべ、このライヴ空間にいたみんなも、どこかでがんばっていることを思い出して下さい。僕たちの仲間に心を込めて─「黒いブーツ〜oh
my friend〜」”。
場内が一気に明るく照らされ、軽快に刻まれるリズムに、オーディエンスの笑顔もこの日でもっとも弾んで見える。そんな光景と、この曲を演奏するあまりに穏やかなメンバーの表情を見たとき、私はこの「黒いブーツ〜oh
my friend〜」という曲が、誰かの背中を押してあげることのできる、前向きな曲であることに初めて気付いた。なぜなら、私自身、ソフィアの音楽に出会った2年前には、この曲が、生きることの意味や、自分の存在意義がわからなくなっていた私を、皮肉ってるようにしか聞こえなかったからだ。しかし、今は違う。彼らの音楽は、“黒いブーツ”そのものではなく“黒いブーツが何であるか”を見つけさせてくれ、私を2年前よりも確実に進化させてくれた。
そんな誰かの人生において、それに立ち向かって行く計り知れないパワーをくれる“最強のロックバンド”ソフィア。この日も彼らのライヴには笑いが溢れていた。しかし、ときに涙がこぼれてしまいそうな、感極まるシーンもあった。そして、怒りをぶつけたような激しさも。
人生の縮図でも見るかのような“喜怒哀楽”が詰め込まれたライヴ。それを象徴するかのような、ソフィアなりの生き方が描かれた曲 が、この“進化論ツアー”のラストナンバーとなった。
──ところで、“黒いブーツ”というのは本当に存在するのだろうか。“人混みで、暗がりで、走り出せる為だけのブーツ”など見つけることができるのだろうか。私は考えてみた。出た答えは、“NO”。たぶん、見つけなくてはならないのは、“黒いブーツは存在しない”ということではないだろうか。そしてそれに気付いたとき、初めて私たちは自分の足で、自分のペースで一歩一歩進んでゆこうとする力を、手に入れることができるはず。もちろんこれは私個人の見解だが、少なくとも、彼らのライヴはそんなことを私たちに考えさせ、また今日も、多くの人々の背中をそっと押してくれる。 |
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