“ロックじゃねえよな、ニューウェーヴだわ、やっぱ”
●やはり、ニューアルバムの話を聞く前に、どうしても『NEU』というアルバムを振り返る必要があると思うんです。あの作品は、ポリシックスにとって、どんな作品だったんでしょうか。
「『NEU』では、バンド的な体力の向上を目指していたんです。ポリシックスってバンドは、そういうものがないままワ〜ッと広まった感が自分の中にあって、それは絶対良くないと思ってたんです。それに、知り合いのバンドとイベントに出たりして、ミュージシャンにすごく憧れてた自分もいたんですよね。しかもロックに。それで、その当時、ポリシックスはニューウェーヴというくくりでしか見られてないという葛藤もあって、“俺らはニューウェーヴじゃない! ロックだ”ってしきりに言ってたんです。だから、曲の作り方でもバンドで、4人でセッションして作ったりとか。レコードになったときでも、バンド感とかライヴ感、テンションなんかを入れたくてしょうがなかったんです」

●で、そのあとにツアーがありました。
「30本くらいの長いツアーというのも、初めてだったんです。それも“俺がやりたい”って言って。まぁ、それを目指してたんですけど。で、結果的にそれがしっかりできて、そこで得たものがすごく大きかったんですよ。だから『NEU』は『NEU』で満足できたんですよね。“バンド感が、やっと出せたな”って。でも、何か足りない部分があったんです」

●足りないというのは?
「そのとき置いてけぼりをくらってたチープなシーケンサーとか、そういう打ち込みを使ったポリシックスの面白さって言うんですかね、次はそっちを上げるときだなって。最近すごくいい機材とかあるけど、あまり使えないんですよ。なんか面白くない。僕が高校から使ってる(ヤマハの)SY85っていうのがあるんですけど。それはすごくチープな音なんですけど、あれを使って自分の理想の音を作っていく作業、要は打ち込みで汗をかく感じって言うんですかね。そこが自分にとって大事なことだし、ポリにとっても大事なことだった。その打ち込みで汗かいて、チープなシーケーサーを走らせたときに、生のバンドの音が乗る面白さ。そこがポリシックスの面白さかなって思ったんですよね」

●なるほど。
「だから曲の作り方も、骨組を作ってそれをスタジオで肉付けをするっていう昔の方法に戻ったんですけど、そこで生まれてきたものは、明らかに昔と違っていた。これはやっぱり『NEU』があったからなんですよ。『NEU』をちゃんと出せなかったら、また『NEU2』みたいなのを作ってたと思う。だから、やっと『NEU』で準備オッケーかなって思って、次に新しい進化を遂げるために、ポリシックスの面白さをもう1回見つめ直したっていうかね。つまり、ポリシックスってどういうバンドかって思ったときに“ロックじゃねえよな、ニューウェーヴだわ、やっぱ”って」

●ニューウェーヴというと、ハヤシさんの中ではどのようなものなんですか?
「ニューウェーヴって、やっぱり尖ってるものじゃないですか。当時…、70年代後半に尖ってたパンクが廃れて生まれてきたものが、すごい尖ってて、それに名前がつけられないからニューウェーヴになったわけですよね。それと同じで、やっぱりウチらも尖ってるものでいたいっていうのがあった。ロックやっても、今のロックは普通 だから面白くもないし、つまらない。だから、俺らはロックじゃなくて、存在的なニューウェーヴをすごく意識しましたね」

●それを意識したのって、いつごろからですか?
「ツアー途中くらいから。そっからライヴも変わりましたね。ポリシックスの面白さってなんだろうみたいな。それまで“熱さとかテンションとかを伝えなきゃ自分はやってらんねぇ!”みたいなことを、若いから言ってたんですけど、でも今思うと、それはただの普通になることであって、面白くも何ともない。そこで出てきたのかな」

●それは見るからに変わったんですか?
「うん。ちょっと前までは、昔やってた振り付けとかも拒んでたりしたんですけど、今めちゃくちゃやりますね(笑)」




>>BANDSJAPANに登録していただいた人の中から抽選で、POLYSICSハヤシのサイン入りポスターが当たります。