昨年11月、目黒鹿鳴館よりスタートしたツアー“理想郷旅行”が、3/26の渋谷オンエアウエストで、“理想郷旅行完結編 〜そして遥かなる大地へ〜”と銘打った最終日を迎えた。
 実はこの日、彼らのライヴを初めて見たのだが、以前から“サイコ・ル・シェイムのライヴはいろいろな意味でスゴイ!”とは聞いていた。結果 、噂どおり、いやそれ以上のステージを見せてもらったと思う。

 現在・過去・未来というコンセプトに沿った、まるでロールプレイングゲームのキャラクターのような、あまりにも衣装インパクトのある衣装。そればかりが注目されがちな彼らだが(もちろんそれもスゴイが)、このライヴを見たかぎりでは、それはサイコ・ル・シェイムというバンドを構成する要素の一つにしか過ぎないと感じた。彼らはそれくらいたくさんのパワーと、可能性を持っていた。
 ライヴ冒頭、サイバーな“未来”の衣装を見にまとったメンバーがステージに登場すると、観客と熱気がびっしりとつまった会場が、激しく揺れた。その場の雰囲気は、一気に非現実的なものになり、彼らが導こうとする“理想郷”への入り口が見え始める。


 1曲目の「インドラの矢」から、メンバーも会場も、ものすごいテンションでぶつかり合い、そのままの勢いで突き進むかと思われた。が、機材トラブルというアクシデントがあり、1曲目にして一時中断を余儀なくされた。数十分後、無事ライヴは再開されたが、人間というのは不思議なもので、アクシデントがあると、さらに気持ちが盛り上がるようだ。そこからはスタート以上の勢いで、「グロテスク」「Broker」「MEGATRON」が立て続けに演奏された。噂に聞いていたギターのAYAと、ドラムのYURAの“パラパラ(?)”も登場し(会場も一体になって踊るさまはかなりのインパクト)、観客は彼らに導かれるままに、一丸となって“理想郷”を突き進んでいく。

 この日のライヴは全3部構成で行われ、3つの世界観が描かれていた。各部の合間には「MEGATRON」の撮り下ろしPV映像が上映されたり(このPVには、メンバーがそれぞれ別 のメンバーのコスプレで登場しており、会場は爆笑の渦と化した。個人的にツボだったのは、YURAに扮したヴォーカルDAISHIの付け鼻である・笑)、メンバー総出演の芝居(コント?)が上演されたりと、さまざまな趣向が取り入れられていた。こういったショウ的な要素を取り入れ、さらにライヴ感を高揚させていけるのも、メンバーそれぞれが強い個性を持っているからだと思う。

“少年キャラもそろそろ限界(笑)”というDAISHIの力強く、凛々しいヴォーカル。艶やかな外見と毒舌(?)が魅力のギターのAYA。“おっとこまえ”と呼ばれるほどスマートな美形なのに、パワフルな音を叩き出すドラムのYURA。彼らの中でも特異な存在感を持つベースのseek。淡々としながらも、攻撃的なサウンドをハジき出すギターのLida。5人の個性が一つとして埋もれることなく、際立っている。これはバンドとして、かなりの武器になっているだろう。

 2部では、「離愁」といったスローなナンバーも聴かせてくれ、新たな表情を見せてくれた。かと思えば、「Murderer・Death・Kill」では何度も会場をあおり、観客を挑発するかのように激しく揺さぶり続ける。観客もメンバーに負けじと、ステージに身体ごと突っ込んでいく。その勢いたるや、斬るか斬られるかという感じである。

 嵐のような時間が過ぎたあと、やはり最終日ということで、“理想郷旅行”ツアーの感想や今後の意気込みなどが、各メンバーによって語られた(seekがしきりに“堅実な人生が歩みたかった”とつぶやいていたのが印象的・笑)。そのあと、3部のラストの曲「excalibur」に突入。またもステージと観客による大狂乱が巻き起こり、誰もが、完全燃焼したといった様子で幕を閉じた。この日のライヴに参加したファンには、彼らが描く“理想郷”を、身体のすべてで感じることができただろう。

 次なる展開は、6/16渋谷オンエアイーストで行われる“Doppelganger〜もう一人の自分〜”と題したワンマンライヴ。そこで彼らは、観客をどのような世界へ誘ってくれるのか。ぜひ足を運んで、自分自身で確かめてもらいたい。




  
 

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