10年前。私は偶然、彼の音楽に出会った。それは、今もこうして彼の音楽に関わっていることを思えば、必然だったのだろうという気さえする。
 そして、11/4。今年の1月からスタートした4シーズンを通して行なわれた久々のソロライヴが、いよいよ最後のステージを迎える。
 デビュー10周年とライヴプロジェクトの終了。この日は2つの節目を携えたライヴなのだ一一。  「Re-communicate」。夏のライヴで新曲として披露されたこの曲が、シーズンラストのステージのオープニングを飾る。たくさんの音色がちりばめられた、ポップで自然と心が弾む曲。これまでに、厳かな曲、疾走する曲、尖った曲、壮大な曲…と、クオリティの高い、さまざまな楽曲を打ち出しているけれど、これが彼の原点であり、本質なのだと思う。
 そして、初のソロヴォーカル曲「SIREN'S MELODY」、目の前に宇宙空間が広がってくるようなスケールの大きな曲「Robots」が続いたあとは、一転して“秋の装い”に。
 ピアノで演奏された、クラシックのアヴァンギャルドにも通じる「November's nocturne」では、計算された無秩序の美しさを感じさせる。一瞬の間があり、曲はなんと童謡「紅葉」へ(笑)。音楽の授業のような大合唱には、懐かしさあり、ちょっと驚きあり。でも、こんな一瞬が観客との距離を一気に縮める。そのあとは、'92年にリリースされたソロアルバム『D-Trick』に収録されている「A Moonlit Night」を同じくピアノで。彼が持つ、子供のような好奇心や暖かい心を反映するかのように、柔らかい優しい音色が響き渡る。
 そしてある意味、ここがクライマックスとも言える、「winter mute」から始まるインストゥルメンタル組曲。冬、春、夏、秋というそれぞれの季節が、プログレッシヴなサウンドで彩 られ、パブリックイメージではない独特な世界観を描き出す。まだ芽吹くものがないながらも、これから新しい命が生まれてくる息遣いのような強さをはらんだ「winter mute」。穏やかな陽の光りが降り注いだかと思えば、突然強風が吹き荒れるような、場面 展開の激しい「spring phase」。大きく広がった青空のような解放感と、黒く落ち込んだ影を表わすかのようなコントラストを描く「summer fade」。そして、それを締めくくるのが、大きな響きを持って空間を包む「autumn choir」。この曲で感じたのは、“無”という意識。何も考えられず、放たれる一音一音に、ただ身を委ねる。それは心地良く、そして曲が終わったあとには、不思議と何とも例えようのない強い感情が込み上げてきた。
 ここで小休止をはさみ、「Call Name Future?」から後半がスタート。新曲「Fairy Make a Lie?」は、彼自身が歌う曲としては、これまでにないテイストの楽曲。ちょっとミスマッチな印象もあったが、新境地的な意味では、面 白くも感じた。
 2曲のトランスナンバーが続き、「SPACE PARADISE」では2人の小介くん('95年のソロツアー時に、ツアーグッズとして販売されていたキーホルダーについていた人形)の着ぐるみが登場。個人的には懐かしさもあるのだが、あまりの大きさにビックリしたほうが強かったり…(笑)。
 そして迎えた本編ラスト。'95年のソロツアー、そして今期のライヴすべてを締めくくった曲でもある「THE ELECTROMANCER〜KANASHIMINO KAWAWO YOROKOBINO OKAWO〜」は、彼にとっても、ファンにとっても、思い入れの深い曲。何とも言えない感慨が、会場全体を包んでいた。
 たくさんの「ハッピーバースディ」の歌声に呼び込まれたアンコール。この日はちょうど誕生日に当たったこともあり、ケーキまで登場したりと、ひときわ色めく。
 アンコール1曲目の「DECADE&×××」は、デビュー10周年と終了を迎えたTM NETWORKに贈られたものだったけれど、今は彼自身が10年という節目を迎えた。曲調はトランスの要素を含み、ちょっとポップ色が影を潜めた。さまざまな移り変わりがある。その中でも変わらないのは、いつだって新たな成長があるということ。それをこの曲を通 じて、あらためて感じさせられた。そして「Neo Age」。これがソロライヴプロジェクト“21st Fortune”の、本当に本当の最後の曲となった。

“色のない世界に描かれた幻の虹”

 それは、真っ白な照明の中に舞い落ちるたくさんの風船そのものであり、それを取り込んだこの空間そのもののように思える。そして…

「僕には、“ここ”という還ることのできる場所と音楽があります」

 本編ラストの曲の前に聞いたその一言が、いつまでも心に響いていた。




>SET LIST
01.Re-communicate
02.SIREN'S MELODY
03.Robots
04.November's nocturne〜Pf
05.winter mute
06.spring phase
07.summer fade
08.autumn choir
09.Call Name Future?
10.Fairy Make a Lie?
11.TECHNO BEETHOVEN
12.autumn trance
13.SPACE PARADISE
14.LOVE & JOY 2001mix
15.Ride on Free
16.THE ELECTROMANCER
 〜KANASHIMINO KAWAWO
  YOROKOBINO OKAWO〜

ENCORE
01.DECADE & ×××
02.Neo Age



>Information
【Release】
BEST ALBUM
『DecAde〜The Best of Daisuke Asakura』
アンティノス
ARCL-212/213
発売中


【Concert】
“Glorious Night of Piano Fortu〜DecAde of Ballads〜”
12/20(木)品川教会グローリアチャペル
※12/11(火)チケット発売
 9,000円(税込/スペシャルグッズ付き)

“NEW YEARS SPECIAL GIG”
1/1(火)東京厚生年金会館
出演:Mad Soldiers、The Seeker
※11/25(日)チケット発売
 5,800円(税込)

両公演とも、お問い合わせは、
キョードー東京
Tel.03-3489-9999

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http://www.antinos-r.co.jp