みんなのバックグラウンドが絶妙に融合して、
“これ、ちょっとおもしれんじゃねぇ?”って

●まずは結成の経緯から教えてください。
ヒロキ「とりあえず、ファンクをやろうということで大学仲間で集まって、セッションをしながらストリートライヴもしつつ」
ターザン「最初はコピーをしてたんですよ。JB'sとかが多かったですね。で、そうこうしているうちに発電機を買って、ストリートライヴを始めたんです」
●中心メンバーは誰になるんですか?
ヒロキ「俺が今もリーダーなんですけど、結成当初からいるのは俺とベースのモリスン。最初は5人で始めたバンドやったんですよ。それが1年ぐらいでメンバーがどんどん増えていって」
K太郎「“ファンク大好きで、ファンクしかやらへん!”って人間ばかりが集まったわけじゃなくて、他ジャンルな人たち繋がりで集まって。で、みんなのバックグラウンドが絶妙に融合して“これ、ちょっとおもしれんじゃねぇ?”っていう」
●サークルのメンバーとかではなくて?
ヒロキ「じゃないですね、結構バラバラで」
K太郎「うちの大学は音大だったんですよ。バンド名の由来にもなってますけど、K-106っていう教室で練習しとったんです」
●バンド名は教室の部屋の名前だったんですね。
K太郎「そうです。ある日イベントに出演する際、バンド名がなかったので形として仮で決めて。それで、今日に至ってしまったわけです(笑)」
ヒロキ「おもろいヤツだったら“とりあえず一緒にやろうや!”ってノリだったので、クルマに寝泊まりしながら広島とか名古屋に行ってストリートしたり、チップ稼いだらまたストリートをしてっていうふうに、結構おもしろい活動を」
●ホーン隊のいるストリートバンドって珍しくないですか?
ターザン「でも、ここ数年で増えた感じがしますね」
ヒロキ「人数が多いとセッティングにも時間がかかるし、やっぱり大変じゃないですか。発電機とかアンプがいるし。でも、歌がないからマイクを立てる必要もないし、管楽器はいつも生でやっているので」
●大阪のストリート事情はどうです? 人は結構止まってくれますか?
K太郎「阪急とJRの間でやっていたのもあって、人通りはすごく多かったんですよ。フロントの3人がキンキラリンの楽器をブオーッて振り回してたので、“なんやコイツら?”って感じで足を止めてましたね(笑)」
ターザン「“今日は変なバンドがいる”って感じで最初は興味を持って来てくれて、それから楽しんでくれるというか」
ヒロキ「しかも、雨の日も雪の日も、全員半袖シャツ1枚でやってましたから(笑)」

最近、大阪はストリート事情が厳しくて、
それで一度ヒロキも補導されて…

●ストリートは今でもやっているんですか?
ターザン「いつもやっていた場所の近くに派出所ができてしまって、それから警察が厳しくなってきちゃったんですよ。最近、大阪の梅田はストリート事情が厳しくて、それで一度ヒロキも補導されて…」
ヒロキ「“補導”って、若いな(笑)」
●梅田はストリートが盛んなイメージがあるんですけど。
K太郎「今も盛んですけど、昔の半分以下やもんな。ホント止められるんですよ」
ヒロキ「ゲリラライヴですからね、結局。しかも、当時は8人で爆音でやっていたんで、最悪やな(笑)」
●それから、活動はどのように変化していくんですか?
ヒロキ「4年前ぐらいの話なんですけど、ストリートでお客さんにチケットを買ってもらって、それからいきなりワンマンライヴをやったりするんですよ。それまでは、自分たちの方向性を考えていたわけでもなかったんですけど、そのワンマンでお客さんがたくさん入って“これ楽しいなぁ”って(笑)」
ターザン「ストリートはいろんな場所でやりましたね。日本銀行内のホールだったりお寺だったり、スタバでもやったことがある(笑)」
●お店の中でですか?
ターザン「はい。その当時のメンバーで働いているやつがいて、“やらせろ”って(笑)」
●すごいですね。店内はどんな感じになっちゃうんでしょう?
ヒロキ「盛り上がって踊ってたよな(笑)。座ってコーヒーを飲んでるお客さんに、“立ち上がってください!”って言ってましたからね(笑)」
●それで立ち上がってくれるわけですもんね。
ヒロキ「そうですね(笑)」
●でも、ストリートだと幅広いジャンルにウケそうですね。
ターザン「中学生や高校生もいますし、40〜50代の人も“懐かしい”って」
ヒロキ「“娘にチケット買って帰るんや!”って言って、チケットをたくさん買ってくれましたからね(笑)」
ターザン「ストリートはおもしろいですね、やっぱり」
●中学生にとっては、ファンクって逆に新鮮なのかもしれないですね。
ヒロキ「そうですね。老若男女問わずっていうところはありますね」

シビア度や厳しさをブッキング周りで実感して、
ストリートよりライヴハウスに力を入れ始めた

ヒロキ「その後もストリートをやってたんだけど、諸事情でできなくなったりして。何て言うんですかね…僕らは“ストリートドランカー”って言ってたんだけど、実はやりやすいんですよ、ストリートって。いろんな人が通りかかる中で、止まっている人よりもその数百倍もの人が通り過ぎるわけで、その中で足を止める人っていうのは必然的に音楽好きな人が多かったりして。だからすごく盛り上がるんです。
 逆に、ライヴハウスでお金を払って見に来てくれるお客さんは受け取り方が違うというか、シビア度や厳しさが違うなって。それをブッキング周りで実感して、ストリートよりライヴハウスでの活動に力を入れ始めたんですよね。で、そうこうしているうちに最初の自主音源『Hot GRIP』(02年)を発売して、それがきっかけで今のレーベルに移ったんです。さらにその後、アルバム『Okey Dokey』(05年)で今のメンバーに落ち着いたって感じですね」
●その頃からなんですよね、関東でも活動し始めるのは。
ヒロキ「そうですね」
●東京での活動はいかがでした?
ヒロキ「想像では“やりにくいちゃうんか?”って思ってたんですけど」
ターザン「けっこう冷めて見てるイメージがあって」
ヒロキ「東京人に対して、大阪人はそういうイメージがあるんですよね(笑)。“クールな人が多いんじゃないか?”とか、“世知辛い感じかな?”とか思ってたんですけど(笑)、逆に音楽好きというかお客さんが温かいんですよね」
K太郎「カラオケに遊びに行く感覚で、“ライヴに遊びに行こうよ!”って感じだったので、音楽がすごく日常的で楽しい感じがしましたね」
ターザン「ノリも良かったしな、東京での一発目のライヴ」
ヒロキ「だから、音楽の質が高いんちゃうかな?っていうのは、すごく思いましたね。日常的というか、“特別なときじゃないとライヴは見ねぇ!”って感じじゃなくて。大阪でライヴをすると、友達に誘われて見に来たって人が多いんですけど、東京はそういう感じじゃなかった。ちゃんと最後まで残って見てくれたりとか。大阪のお客さんは、見たいバンドを見たら“カラオケ行こか?”みたいな感じで帰っていく人が多くて、もちろん大阪は大阪で楽しいし盛り上がるんですけど、最初の印象とはえらい違うなとは思いましたね」

ほかのバンドと混じらないホーンセクションの
サウンドを、常に目指している

●とにかくテンションが上がる作品ですよね。余談ですが、先日これを聴きながら大富豪(トランプゲーム)をやってたんですけど、すごく楽しくできたんですよ(笑)。もちろんBGMとしても成立するけど、音は体にちゃんと入ってくるというか。
ヒロキ「あぁ〜なるほど、それは嬉しいですね(笑)。曲の起伏が結構激しいので、大富豪とかは合うかもしれないですね」
●ハイテンションはもちろん、落ち着いた感じの曲もあるし。曲順が良いんですかね?
ターザン「実際に、曲順が一番迷いましたね。聴いててしんどくならないか?とか、全曲を何回も並べ替えて。最終的にこれに落ち着いたんですけど、大変でしたね。“できたぁ”と思って聴いてみたら、“なんか4〜6曲目がしんどいぞ”って(笑)」
K太郎「たとえ良い曲であっても、突出した部分のある曲が並んだらそれがダメになってしまうので。1曲の中でもそうだし、全体でもそうだし。メリハリっていうか」
ターザン「ノリノリの曲も渋い曲も、“どっちの雰囲気も好きやな”って思わせられるよう曲順で生かしたいですね」
●1曲目の「Born to Be Funky」から全開ですよね。ギターソロもカッコ良くて。
ヒロキ「今回はそうですね、ギターのリフとかが前に出てくるような音作りをしましたね。前作よりも音が立つようにというか。ファンクギターってやっぱりカッティングじゃないですか。だから、あえて今回はカッティングに捕われすぎずに、もっとリフっぽく聴こえるようなカッティングを目指しましたね」
●トロンボーンに関してはどうですか?
ターザン「機材は特に変えてないんですけど、高音の詰めであったり、アレンジには凝りましたね。そこが前作に比べて力を入れた点ですかね。で、メロディに関しては1回聴いただけで耳に残るというか、できるだけ早く馴染めるようなメロディを考えました。そういうところを今作は一番こだわりましたね」
●ほかのパートとのバランスで、特に意識したところはありましたか?
ターザン「テナーサックスの低音を活かしたり、あえてギターとトロンボーンだけだったり、サックスの2管だけでメロディを奏でたり。ホーン隊が吹きっ放しだったらセカンドアルバム『Okey Dokey』と一緒なので、できるだけ飽きさせないようにしました」
●サックスもそれと同じところで?
K太郎「そうですね。マウスピースだけでいろいろと変わってくるので、それをずっと試しながら。そのときが、たまたま今回のセッティングだったりするんですよ。ま、これからも模索模索で。でも、現時点でのおもしろいサウンドが詰まっているので」
ヒロキ「編成上、トランペットがおらんというのは結構珍しいですね。逆にそれが僕らの売りで、ほかのバンドと混じらないホーンセクションのサウンドを、常に目指しているというか」

BGMで片付いちゃう音楽にはなりたくはなくて、
サラッと聴き流せないようなサウンドを奏でたい

●結成当初からトランペットはいないんですか?
ヒロキ「いないですね」
K太郎「アルトサックスがトップのバンド友達がいたんですよ。サックスの重たい質感がカッコ良く聴こえるような楽曲をやってて。上と下の音でエコーを出す感じじゃなくて、もっと歌に近いようなホーンセクションが作れたらいいなって思いますね」
●でも、やっぱりトランペットがいないと…。
K太郎「いないとダメってことはないんですよ。ホーンにも年代による好みがあったり、華やかさがあったり、新しいトランペットほど音の立ち上がりやパワーも上がるので。ただサックストップだと、トランペットのキュッと締まった音に肉付けした感じというか、トロンボーン、テナーサックス、アルトサックスという太い塊感が、トランペットに比べて出せるんですよね。それが温かさに繋がっていたり」
ターザン「トランペットが入ってきてしまうと、サウンド的にどうしてもありきたりなホーンセクションになってしまいがちだと思うので。だから、3管の肉厚なる音っていうのが僕たちの売りですね」
K太郎「狙ってたわけではないんですけど、途中から“これが俺らの特権”みたいな」
ターザン「一聴して僕らだとわかるようなサウンドが出せたらなと」
●トランペットがいないことを感じさせませんよね。
ヒロキ「そこはアレンジで工夫したり、切れ味を出して抜けが良くなるようにっていうのは、すごく考えてます。さっきも言いましたけど、トランペットが入って印象が重なるのはイヤやなと思っているので」
ターザン「曲作りの段階でも、アルトサックスをトップに置いて作っているので、トランペットがいなくても結構パリッとは聴こえるんです」
●これまた、サウンドの奥行き感も気持ち良いですね。
K太郎「腰にくるグルーヴィなサウンド、何も考えなくても“これは!”って思えるサウンドを常に意識していますね」
ヒロキ「僕らにとってそれはすごく重要で、歌詞がなければ歌もないので、あとは楽器同士が織り成すサウンドというか。そこで、自分のカラーが出せなかったらBGM…BGMって言葉で片付いちゃう音楽にはなりたくはなくて、サラッと聴き流せないようなサウンドを出したい。BGMとして流してもらうのは全然良いんですけど、流れちゃっただけで終わってしまうのは一番悔しいところなんでね。“あの曲ちょっと変な音楽やったな”でもいいので、ちょっと引っ掛かるように作っていきたいですね」

黒人はリズムが主体になっている民族だけど、
僕ら日本人の根底にあるのはやっぱりメロディだと思う

●いろいろな雰囲気の楽曲があって、振れ幅の広い作品ですよね。
ターザン「アルバムタイトルが『DAYS OF WONDER』なんですけど、それぞれの曲に人間の感情が表わせていると思うんですよ。6曲目の『Gravity』だったらちょっと重たい気分だとか、7曲目の『O-Ra-Mu-Da』だったらちょっと怒りとか、8曲目の『Beautiful Days』なら恋愛の気持ちで演奏したりとか。何気なく聴いてても、日常の生活にリンクしながら聴いてもらえると思いますね」
K太郎「あと、単語として与えられている情報というか、まぁ声が入っている曲もときどきあるんですけど、基本的に一言二言だけなので、この限られた単語と曲の持っている雰囲気で、風景や情景を演出するのはインストならではの魅力だなって思うんですよ。今回はその中でも、感情だったり主観的な体験とかから、きっと繋がるところを見つけてもらえるアルバムができたんじゃないかって思います」
●曲作りはどのような流れで作っていくんですか?
K太郎「スタジオに入って、セッションしなから作っていく感じですね。それぞれアイディアを持ってきて、それを全員でひとつのパーツからアイディアを出し合って混ぜて」
ヒロキ「それも結構その場その場で、メロディ部分を主にする予定が、ドラムがカッコ良かったからドラムメインにしたり、ギターのリフがカッコ良かったらギターメインにしたり。とにかく、それぞれの楽器の良い部分が1曲の中でどんどん変わっていくんですよ。セッションをしていないと偶然の産物って出てこないから、ひたすらカッコ良くなるまでセッションを繰り返しますね」
●メンバーが7人いると、アイディアも膨らんでおもしろそうですね。
K太郎「全員のバックグラウンドが違うので、いろいろなジャンルの要素が混ざって新しいものができていく感覚ですね」
ターザン「その分、モメることも多いですけど。それも一度しっかりと話し合って試してみて、みんなが納得する方向に。いい具合に混ざってK-106サウンドになっているから」
K太郎「1人が作ってしまわないようには、ある意味気を付けていることなんですよ。たとえば、フュージョンをやっていた人に寄っていったらフュージョンが濃く出てしまう。そうすると、ファンクバンドとしてのアイデンティティがなくなるというか。ただ、そういう要素が加わることによって面白いものが誕生するので、そのバランスを僕らはすごく大事にしているというか。すごく重要なことやと思っていて」
ヒロキ「僕らの中で、ジャンル分けって言葉は意味がないことなので。ファンクっていうのは基本的に、グルーヴを根底に置いた上でそれぞれの個性がぶつかり合ってできるものだと思っていて、何が出来上がるかわからないところがすごくおもしろかったり」
K太郎「今回のアルバムに関しては、グルーヴの追求もしつつ一般の方にも受け入れられるようにと。黒人はリズム主体の人が多いけど、僕ら日本人の根底にあるのはやっぱりメロディだなと思うので、70年代のファンクの様式だけに捕われずに、より日本人の心、何回か聴いたら口ずさめるメロディを念頭に作りました」


全体が混ざり合ったときに“何か気になるな”
って思わせれば、それで勝ちだと思う

●そういう7人をうまくまとめるのは、やっぱりリーダーとしての力量が…。
K太郎「それはないですね(笑)」
ヒロキ「一応、それは僕がちゃんと…」
K太郎「もう黙っててくれ(笑)!」
ターザン「リーダーはすごく前向きなんですけど、なんでも“行ける行ける!”って言うんですよ(笑)」
K太郎「そうそう、僕とかは逆に細かいところをツッコミすぎて、そこから前に進めなくなるタイプなんですよ」
●いろんな意味でバランスがとれてますよね。
ヒロキ「バランスが命ですね」
ターザン「リーダーだからといって別に何の権利もないですけどね(笑)」
K太郎「何ができるってわけじゃないけど(笑)」
ヒロキ「バンドの一体感をすごく重視しているので、何よりそこが出せるか出せないかが大事なわけで。1人1人のフレーズはそんなにカッコ良くなくていいと思うんですよね。“なんじゃそれ!?”ってフレーズを弾いてても、全体が混ざり合ったときに“何か気になるな”って思わせれば、それで勝ちだと思っているので。だから、細かいところはこだわっているんだけど…」
K太郎「こだわらなければならないっていうのは、音楽を提供する側としての義務だと思うんですけど、ファンクミュージックで一番大事な核の部分というのは、ソウル、グルーヴ、ガッツ。それをできるだけ出せるようになりたい」
●今回の作品に関して言うと、その点どうでしたか?
K太郎「現時点での最高のものは出せたんじゃないかなと思います」
ヒロキ「この日、一番いい演奏をしていますね。僕らの場合はアレンジも変わっていくし、CDが発売される頃には曲自体が変わっている場合もあるので(笑)」
ターザン「ライヴではまたライヴのアレンジだから、お客さんにはどちらも楽しんでもらえるな」
●雰囲気が変わりますもんね。
K太郎「しかも、レコーディングならではのおもしろい仕掛けというか、イタズラがたくさんあるので、そこにも注意して聴いてもらえると嬉しいですね。これはCDだけのお楽しみなので」
ターザン「で、聴くときはぜひ音量を大きめにして聴いてください。“こんなこともやってたんや”っていう発見がたくさんあると思うので」
ヒロキ「“なんやこの音?”とか思ってよく聴いてみたら吹いてたり(笑)」
●なるほど。じゃあ音量を大きめにして、もう一度大富豪をやってみます(笑)。
ターザン「負けているときは、6曲目の『Gravity』をエンドレスリピートで(笑)」


ライヴ情報
8/21(日)神戸VARIT.
8/26(金)梅田RAIN DOGS
9/11(日)大阪福島2nd LINE
9/14(水)名古屋TOKUZO
9/15(木)京都MOJO
9/20(火)吉祥寺STAR PINE'S CAFE
※詳細はホームページを参照!