解散に向かうカウントダウンではなく、
1本1本が大切な意味を持っているステージ。

 解散、解散、また解散。この時期、申し合わせたかのように結成10周年前後のバンドが相次いで解散していく。解散って何だ? 恋人同士が別れるのとも、離婚するのとも、卒業ともまた違う<別れ>。「今までは約束しなくても会えたけど、これからは約束しないと会えなくなるってことかな」とは、私が動揺と涙を隠してポットショットの解散インタビューを各誌で進めていたとき、確かギターのサトシが言った言葉だ。最年少ながらメンバー歴は最長となる彼が、何とか湿っぽさを吹き飛ばそうと笑ってばっかりだった(ように見えた)インタビューの後半で、解散という節目をそう例えた。そうか。そういうことだ。妙に寂しくなって話を切り替えたけれど、それは何となく、自分の中に「。」を付けてくれたような大切な一言となった。

 そんなインタビューを一通り終え、ポットショットは6人揃ってニューアルバムを携えてのツアーに出かけた。東京は2日連続で、新宿ロフトと渋谷オーイースト。ロフトでは、7人目のメンバーとしてポットショットサウンドを支えてきた、うつみようこ率いるYokoLoco Bandが、オーイーストでは盛り上げ隊長である盟友ニューロティカが、それぞれ対バンした。解散だから云々といったことよりも、いつも通りに気合いの入ったステージをぶつけ、エールを送っているといった感じ。YokoLocoはようこさんのソロアルバムのためにリョウジ君が書いた「Curtain Call」(超名曲!)を演奏し、ニューロティカのあっちゃんも5割増のサービスで会場を沸かせていた。

 さてポットショットはというと、両日とも、本編は新作からのナンバーを中心に比較的後期の曲を中心とするラインナップで、アンコールは時計の針がググッと戻りそうなくらい懐かしい曲という、メリハリの利いた構成で行なわれた。同じ曲でも、ロフトで聴くのとオーイーストで聴くのは印象がまったく違うし、Tシャツに短パンだったあの頃とスーツの今とじゃ、演奏力だって格段の差だ。今までは、そんなこと考えながら見ることはなかったけど、残されたライヴがあと何本…となると、さすがに10年という月日の長さが、ふとした瞬間に実感として迫ってきたりする。

 それにしてもいい曲ばかりだ。作り手であるリョウジ(Vo)には様々な葛藤があっただろうが、10年経ってもこれだけ尻上がりにいい曲が生まれ、ライヴで楽しいだけじゃなく、聴き込んでも楽しめる作品が作れてきたことは、誇りに思っていいと思う。しかし、そんな誇れるはずの曲たちを歌ってるロフトでのリョウジは、ちょっと辛そうだった。特に後半。自分が作ってきた曲との時差を感じているような、そして、その居心地の悪さを必死で拭おうとしてるような感じで、あまりいい空気ではなかったように思う。体調がベストでなかったことは確からしいが、次のステップへと向かっている自分自身と戦っているようなその姿に、少しだけ不安を感じてしまった。

 精神的に追い込まれてないといいんだけれど…そんな気持ちで迎えた翌日のオーイースト。アタマ数曲には、まだ硬さが残っていた気がするが、この日は逆に、後半に向かってグングン良くなっていった。その勢いは前日の硬さや不安を一掃するもので、6人全員がしっかり前を向き、オーディエンスとの息もピッタリ合っていた。きっと演奏してても見てても心地いい、文句なしの“バンドサウンド”が出来上がっていたと思う。

 いつも以上にステージ狭しと走り回って煽り続けるチャッキー(Tb)のやんちゃなパフォーマンスや、客席に馴染みの顔を見つけて思わず顔をほころばせるリョウジ、MCの途中で響いた子供たちの泣き声にすかさず反応するイチカワ(Ba)の素顔を含め、その全部を<よし>とする大らかなバンドサウンド。10年の月日と時間、そして変化をも受け入れた、いい意味で肩の力が抜けた本当にいいステージだったと思う。心が通じ合う瞬間なんて目に見えるものではないけれど、この日は、ワンマンで走り通してきたリョウジの歌を愛し、信じてきたみんなの気持ちが、純粋にひとつになれたライヴだったはずだ。アンコールで歌われた「Every rain let's up」は個人的にも好きな曲だけど、そのラストを締め括る<Then I can trust you yeah/そして僕は君を信じるよ>という歌詞で、お互いの気持ちを一層強く確認したような気がした。

 まだまだポットショットのライヴは続いている。解散に向かうカウントダウンではなく、1本1本が大切な意味を持っているステージだ。感傷に押し流される前に、発見できることや実感できることは、まだたくさんあるはず。本当にラストとなるその日まで、いやきっと、最後の1曲が終わるまで成長し続けているであろう<ポットショットのスカパンク>を、1人でも多くの人に体験してもらいたいと願うばかりだ。