9.10 川崎クラブチッタ

 ツアー初日はクラブチッタ。自分の連載コラムでも触れた通 り、もっとも印象に残っているのは、何と言っても今まで以上にキレの良い動きだ。以前から、20〜30代のバンドなのに何でモッズより動けないんだ、と不満に思うライヴは結構あったのに、さらに動きが良くなっているのだから、もう最強です。いわゆる若手パンク系バンドでも、がむしゃらにエネルギッシュに動いているバンドはいますが、それはそれで良いとして、そういうんじゃなくカッコいい! そして終演後のバックステージで、森山がツアーリハの現場で足首あたりをケガし、まだ完治していないという話を聞いて、頭の中に“!?”マークが浮かびました(笑)。
 ちなみに連載コラムで書いた、個人的な偶然も重なったライヴ初披露の隠れた名曲というのは「ONE CHANCE」。このツアーは計3公演を見て、あともう1公演のセットリストも入手したのですが、その限りでは、この曲が演奏されたのはチッタのみ。アルバム『KILBURN BRATS』に収録されていますので、ぜひチェックしてみてください。で、こういう隠れた名曲というか、ライヴで久々に聴くことで“この曲、めちゃくちゃイイなぁ”と再発見したことが過去にもありまして、あくまで個人的な話ですが、それは「MIDNIGHT SHUFFLE」。こちらもライヴで演奏されることは、めったにありませんので、興味が湧いた方はアルバム『BLUE -MIDNIGHT HIGHWAY-』をチェック! この初日でレアなナンバーと言えば、あともう1曲「Speed Beat 13」でしょう。やはり4公演中、この日だけの演奏です。
 ちょっとマニアックな方向に傾きましたが、バンドをやってる人にも参考になりそうなステージングの話を…。これもコラムで触れた話なのですが、「Boom Box」という曲は森山(Vo,Gt)と苣木(Gt、Vo)が交互にメインヴォーカルを取るような曲で、立ち位 置もメインヴォーカル役がスッとセンターで入れ替わるわけです。まず、これがカッコいい。なぜならギターの位 置にもコーラスマイクがあるのだから、メインヴォーカルになる部分はそこで歌ったっていいのに、あえてセンターで入れ替わる。これぞ、パフォーマンスでしょう! 非常にスリリングです。で、さらに苣木メインの歌から彼のギターソロになだれ込むところでは、本来のギターの立ち位 置にいる森山が、苣木のエフェクター(おそらくブースターか歪み系などでソロ用サウンドに設定したもの)をオン! これ自体はパフォーマンスではないが、そんなところにもついつい目が行ってしまいます。でも、こういうこともライヴをやっている人には参考になるんじゃないでしょうか。
 ところで話は反れますが、そもそもモッズのライヴでは、ギターの苣木とベースの北里それぞれがメインヴォーカルを取る曲が1曲ずつ披露されるのが定番で(カヴァー曲の場合も多い)、アルバムでも1曲ずつ収録されているパターンがほとんどなのですが、ナントあの憂歌団(活動停止中)で、メインヴォーカルの木村さんだけでなくギターの内田さんやベースの花岡さんもメインで歌ったりするのは、実はモッズのライヴを見たことで、やり始めたということです。接点のなさそうな両バンドですが、当時の憂歌団のマネージャーがモッズの梶浦(Dr)と同級生で、そこが接点。で、モッズのライヴを見に来た時に、これはいいなぁということで採り入れたそうです。これには、ライヴ中にメインヴォーカルを小休止させるという効果 もあります。バンドによっては、中盤でインストナンバーを演奏するという方法でヴォーカルを休ませているパターンも多いですね。
 というわけで、かつてのモッズ恒例の年末スペシャルライヴなどは、旧クラブチッタで行なうことが多かっただけに、チッタでモッズが見られるという点でも非常に感慨深いものがある、素敵な一夜でした。

「社長のロック交友録」


 10.6 長野ジャンクボックス

 東京から程近いので、気温もそんなに変わらないような気がしてナメていたら(この頃、東京はまだ全然暑いぐらいの日が多かった記憶が…)、長野は非常に寒かったのでした。しかしベタな表現ですが、もちろん会場の中は熱かったわけです。
 モッズのライヴって、ダイヴ禁止などと言われなくても自主規制できている暗黙のルールのようなものがあるようなのですが、これはケンカ防止や特に女の子のケガ防止などのために蓄積されてきた、モッズのライヴならではの自主規制的ルールである、と推測されるわけです。たとえば7大都市とかだと、そういうことをわかってる人がほとんどだったりするんでしょうが、やはり毎年ツアーで回ってくるわけじゃない微妙な地方都市ともなると、それが行き届いているとも限りません。というわけで、盛り上がっちゃって肩車とか、多くの会場では見られない光景も…! 唯一残念だったのは、盛り上がり過ぎちゃったお客さんとセキュリティのスタッフとのトラブル。まぁ、こういうのも含めてライヴってことで。そりゃ、たまにはありますよ。すごいエネルギーが放出され合う、ロックのコンサートなんですから。
 でも、そこはさすがに我らが森ヤン。確かアンコールの時だったと記憶しているが、“今年はもう来れないけど、次に来る時までケガとかしないように…あとケンカとか(笑)、元気で待っていてください”といった感じの、機転の利いたMCも。でも実際、もっと機転が利いているのは、実はリアルタイムでトラブルが起きている時だということを後で知りました。トラブルなどの影響で周囲が盛り下がらないように、演奏を止めることなくトラブルの当事者をなだめるというか…。だから、よほどその近くにいない限り、何かが起こっていることすら気付かないでしょう。非常にスマートです。
 とにかく、この日感じたのは、長野はロックが熱いってこと。年齢層は本当に幅広く、しかしロックファッション度が高いように感じました。県外から駆け付けたお客さんも、結構いたらしいんですけどね。確かに山梨はもちろん、新潟とか群馬・埼玉 からも、まぁ来やすいと言えば来やすいので。ちなみに、この日だけ聴けた曲というのはなかったのですが、ぜひ次回の長野にも来たいと思った次第です。
 なお、マイクセッティングや打ち上げなどについても触れたコラムのほうも、ぜひご参照ください。

「社長のロック交友録」