●今作「未来の破片」をレコーディングするにあたって、環境的に変化はありました?
後藤「僕らプロになったわけで、音を突き詰められる、考えられる環境というのは、どう考えても整ったんですよ。特にリズム隊はそれがすごく出てて、良い変化になったというか」
「レコーディングでは、チューナーっていう人が付いたんですよ。そういう人がいるのも知らなかったんですけど(笑)。今まで自分でチューニングしてもできなかったところを、“こうしてほしい”って言ったらしてくれて。それができたのが大きい」
●それはかなり具体的な変化ですね。
「それにプレイの面でもアドバイスを受けたりして、かなりスキルアップしたなって。精神的にはあまり変わってないですけど」
●山田さんは?
山田「これを職業にしていく部分で、周りの目も厳しくなってくるし。今までも音楽をやりたかったわけで、その気持ちは変わらないんですけど、より根本の部分というか、今まで勉強不足で見えなかった部分を学ばざるを得ない状況になったし、いろいろストイックにやんなきゃいけない部分は増えたと思う。リズム隊ってことで、リズムはしっかりしてないと表現力が落ちてしまうので、そういう部分はよりシビアになりましたね」
喜多「僕は最近アンプを買いまして、ギターの音には結構無頓着だったんで、前よりかはこだわってるかな。でもまだ勉強中。ギターも買ったんですよ、今年の3月に。前もレスポールだったけど、またレスポール。ちょっとした違いはあるんで、それを今回のレコーディングでも使い分けたりしてて。でも、ほんとに無頓着すぎるくらい無頓着だったと思うんで、かなり意識改革というか。それは、メジャーになったからだとは思わないんですけど。どちらかというとタイミング的に。もちろん自分たちのバンドが発信者として大きな舞台に立って…っていう自覚はすごくありますけど。大きな部分では変わってないですね。前までは口で良いものを良いものをって言ってたのが、より具体的な、細かいところに目がいくようになった。そのためにどうしたらいいのかなって」
後藤「うん。なるほど。今日の数あるインタビューで、初めてわかることを言った」
(一同笑)

●後藤さんはギターは何を?
後藤「僕はギブソンのマローダーっていう。ヘッドがフライングVで…」
喜多「ボディはレスポールにそっくりです。で、ピックガードの付き方が全然違う」
後藤「でもレスポールより軽いよね」
喜多「音はちょっとダダっこいですね。その時々によって摩訶不思議な音が出る。ダダっ子ぶりを見せるんだよね」
後藤「見た目重視。フロントにハムだしね。台無しだって言われた(笑)。ギブソンが血迷ったギターなんですけど。それを2本ほど所有してるんです(笑)」
喜多「最近2本目を買ったんだよね。全く同じものを、探しに探して、なかなかないみたいで」
●癖のあるギターなんですか?
後藤「そうっすね、なんかよくわかんないんですよね。リアのシングル以外使えないし。フロントを使うときって、クリーンで、よっぽどトーン絞って丸い音出したいとき以外は使いようがないっていうギターなんですけど。そういうなんか、完成されてないところが魅力的っていうか(笑)、見た目あんなかっこいいのにっていう。でも見た目がかっこいいのはすごく大きいんですけどね。それだけで弾けてるように見えますから」
喜多「(笑)」
後藤「大事だよ」
喜多「いけてるように見えるけど…」
後藤「ことライヴになると、見た目というのは大事なことですよ」
●(笑)。先ほど、日本語という話が出ましたけど、アジカンは歌詞を聞き取れなくても全然聴ける音楽というところがいいですね。サウンドだけでも全然行けるという。でも、もちろん歌詞をないがしろにしてるわけじゃない。しっかり言葉で決めるところは決まってるっていう。
後藤「そう言ってもらえると嬉しいですね。非常に気を遣ってるというか。語尾の部分とかは。でも、やっぱり昔英語でやってたところが良かったりするのかな。すごくサウンドを捨てないというか。英詞でやる日本のバンドっていうのは、どちらかというとサウンド志向の面 があると思うんですよ。サウンドに寄ってるからメロを重視したりとか。だからそういう部分も持ちつつ、ちゃんと日本語も実は届けたいという。そういうところのバランスが、すごくよくとれてるのかなって自分で思ったりはしますけど」
●それと、サウンド面で、前作の「崩壊アンプリファー」よりも、今作のほうが衝動的な感じが伝わってきたのですが、その辺は?
後藤「やっぱり投げ方の質が違ってるところがあって。自分たちのやってることを、すごくわかって投げてるところがありますね。『崩壊アンプリファー』は、バンドの勢いを詰めるという部分で、今ある勢いを詰め込む作り方をしたんですよ。だからそういう勢いは出てると思うんですけど。今作は同じ熱量 でも、出しっぱなしの熱さじゃなくて、曲の中でも引いてる部分もあるから、逆に熱くなってる部分、エモーショナルな部分が前より増して感じるのかも。バンドとしても、抑揚の付け方というのをだんだん表現したくなってきてる」
●メリハリがあると、すごく長く聴いてられるんですよね。今作は、曲は短いけど、曲間にこだわっていて、3曲で1つの作品という意識をすごく感じる。
後藤「そうですね。マスタリングも最初から最後までずっといて、“曲間2.5秒で”とか、0.5秒刻みで試したり。一番すっと入ってくれるタイミングを探っていって。いろいろある曲の中から3曲選んでるわけですけど、切れ切れでは面 白くないというか…、スパッと切ってあげたほうがいい場合もあると思うんですけど。でも、聞こえ方っていうのはすごく意識してる。『崩壊アンプリファー』も曲間を意識的に作りましたね」
●やはりそれはリスナー立場で考える?
後藤「“発信者”というより、“聴き手”という割合のほうが高いかもしれないですね。1回演奏して、僕らは手ぶらでマスタリングスタジオで聴くわけで、そういうときは、本来持ってるリスナーの気質というか、“こう聞きたい”っていうのもあるし。単純に作り手ではあるんですけど、自分らのやっていることに期待してるところはありますよね。僕ら自身、僕らのファンであるというのもあるし」
●自分たちの作品はよく聴くほうなんですか?
後藤「しばらく聴いてますね。作り終わったら」
山田「聴き手の立場に立って聴かないと、伝わらない部分もあると思うし」
後藤「自分が聴きたい音を作ってるってとこもあるから、終わったらめちゃくちゃ聴きますね、僕は」
●今作の手応えは高いですか?
後藤「うん。いいものできた自信はありますね。やっぱり」
「ほんんっといいものできたと」
後藤「潔のまじめな一言ってね、高田純次が言うのと同じくらいの殺傷力があるわけですよ。ほんとかよ?みたいな。それが魅力だけどね(笑)」



アジアン カンフー ジェネレーション/後藤正文(Vo,Gt)、喜多建介(Gt,Vo)、山田貴洋(Ba,Vo) 、伊地知潔(Dr)。96年結成。03年ミニアルバム『崩壊アンプリファー』をメジャーより再リリース。夏はイベントでは、フジロックフェスティバル03の“ROOKIE A GO GO”やサマーソニック2003などに出演。エモーショナルなライヴパフォーマンスで多くの人に衝撃を与えた。
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※SAへのバンド出演依頼 、タイセイ(SA)含むBoo Zee LoungeクルーへのDJ出演依頼、 ブライアン・バートンルイスへのDJまたはMC出演依頼は、familiesまで。   ※本サイトへのご意見、ご感想はこちらへ