やんちゃなアルバムを作りたい。
何才になっても、そういう気持ちで
いられれば最高だよね。


――ちなみに20周年記念のツアーで、締めの沖縄の時、ビーチで打ち上げやりましたよね。長かったツアーおつかれさまって感じだったわけですが、何か森山さんがイラついてるように感じたんですよ。で、もしかしてニューヨークのテロのことかなって思ったんですよね。
森山「鹿児島でコンサートが終わって、メシ食ってホテルに帰る時に電話があって“何かスゴいことが起きてるよ”と。“何?”って聞いたら“ニューヨークで飛行機が突っ込んだ”って。その時は、まだ事故かと思ってたんだけど、次に“テロだ、もう1機追突した”っていうんで、急いでホテルに帰ってテレビつけたら、やっぱりやってるわけ。あの映像は、すごくショックだったね。
 戦争とかなら、ある意味見慣れている部分があるわけじゃないですか。湾岸戦争があったり、昔の戦争なら真珠湾攻撃のシーンがあったり、いろんなシーンを見せられてる。テロっていうのも、せいぜい車の下に爆弾が仕掛けられてたとか、そういうレベルですよね。だから、戦争の名の下で見てるフィルムじゃないからね。普通 の日常に来たわけで…俺は、何か感じた。案の定、沖縄の基地のほうが大変で、セキュリティが厳しくなって云々っていうのがあってさ、“今やらないと”って気分になったよね。
 それで、そのツアーが終わって本当は休みだったんだけど、レコ―ディングしたいって言い出して、『F.T.W.』…本当はその時は『Fuck The Terro』だったけど、そのレコーディングを急遽やったわけ。ところが、詞にクレームがきて“これじゃ出せない”と。ここが大手(レコード会社)の面 倒臭いところで(笑)。そこで、かなり言い合ったけど、やっぱりダメで、少し手直しして。それで『Fuck The World』にしたわけ。で、結局その時は出さなかったけど、今度は戦争が起きたじゃないですか。で、急遽出したというか(前述の追悼イベント会場のみで販売)」

――森山さんならではの感受性が出たというか、普通 は沖縄でツアー打ち上げて単純に楽しいはずじゃないですか。
(スタッフ安部氏「その時、曲作るって言ってましたよね」)
森山「言ってた? やっぱり居ても立ってもおれんじゃないけど、速攻でレコーディングしたいと思ったね。その時点では曲はできてないけど、書き留めたいしサウンドを作っておきたいというか…」
――沖縄にいるというのも余計にリンクしてたと思いますよね。で、酔っ払うと無意識に抑えていた感情が出てきたりするじゃないですか。
森山「あの映像は、かなり焼き付いたね。職業と思ってないけど、モノを作る…たとえば10分後に1曲作ってくださいと言われれば、たぶんできるんですよ、どんな曲でもいいなら。でも、やっぱり“ウワッ!”とか、それが良いことでも悲しいことでも何でも、自分が強く感じた時っていうのは、絶対いい曲ができてると思う。それだけよ。その究極が、そういうことだと思うわけ。しょっちゅう戦争があったら俺はしょっちゅう戦争の曲を書くかっていうと、そうじゃないんだけど、それだけ自分にとって“何で? おかしい、ふざけんな”と思うことだよね。
 たとえば、本当に恋をしたら恋愛の曲を作るかもしれないし…たぶん恋をしたら曲なんか作んないよね(笑)。失恋とかだったら書けるかもしれないけど。それだけの衝動が自分の中であるんだったら、やっぱり書き留めておきたいし、速攻レコーディングしたいよね。“とっとけばいいじゃん”ってよく言うけど、今しておきたいっていう気分にはなる」

――そういう意味では、機材の発展とかインターネットとかによって、思ったらすぐ発表できるというのは、一応いいことですよね。
森山「すぐ発表できてダメなこともあるんだけどね。誰もが言いたい放題っていうか」
――森山さんに関しては、怒りや悲しみを曲に託して発表するということで、気持ちが中和されているのかもしれないですね。
森山「それを自分が作ることによって、今度はそれを伝えていきたいと思うよね。客が単純に楽しむだけでもいいんだけど、あぁ楽しかったっていうだけじゃなく何か感じてくれたら、それは仕事としてというかミュージシャンとして嬉しいよね。アルバムっていうのは、俺が死んでも残るんだから。やっぱり曲は残っていく。『イマジン』だって、ジョン(・レノン)はいないけど曲は残ってる。それは、やっぱり素晴らしいと思うよ。俺たちも作者として作ってみたいよね、そういう曲。モッズなんてとうの昔にいないのに歌い継がれてる、っていうさ。ヒット曲じゃなくてね」
――表現者としては理想ですよね。
森山「後世に残る曲が1曲でもあるのはね。ないだろうなぁ、俺は(笑)。一個人の作者としてはそう思うけど、バンドとしてもっとやりたいっていうのもあるし」
――でも日本ロック史を紐といたら、すでに帯状になって残る存在じゃないですか(笑)。
森山「どうだろうね。でもモッズがいたっていうことだけは、わかってくれるとは思う。まぁでも、まだ今やってるからなんだけど。確かに20周年の頃は、そういう質問もあったし、自分でも名を残すっていうことについて考えたりもしたけど、もうそういう感じじゃないね。とりあえず、いつまでやれるかわかんないけど、どんどんロックしたい。肉体的にとか、いろんな部分ではもっとキツくなってくるかもしれないけど、そうなったらそうなったで考えればいいわけで、それを感じないうちはどんどんロックしたい。
 だから、さっき言ったように、やんちゃなアルバムを作りたい。何才になっても、そういう気持ちでいられれば最高だよね。もう年をとっていくしかないし、逃げようはないんだけど、10代の頃みたいな、ロックに出会った気持ちというのはまだあるし、それは何才になっても消えないかな。それに対して、ちゃんと忠実に全うしたいなっていうのはあるし、嬉しいかな、それはもう変われないね。何年か前までは“何か楽しいことがあったら変わるかもしれないよ”とか、たとえば“ひょっとしたらヒップホップに行きたかったら行くかもしれないよ”っていうのがあったけど、もうないな。“ロックだろう、それしかない”と」


年齢的にもキツくなっていくかも
わかんないけど、どっちにしろ関係ないね。
ファンから救ってもらってるよ。


――モッズの魅力の一つに、ライヴや作品から生き様が感じられるというのがあると思うんです。で、それがロックというか。でも、たとえばモッズが終わった後の保険をしっかり掛けつつやっていたら、その魅力は出てこないかもしれない。そういった意味で、あと何年やれるかわからないという部分に関しては、実感はありますか?
森山「やっぱり、ライヴが好きでバンドを始めたわけじゃないですか。レコードを作りたいからバンドを作ったわけじゃないんだよね。何がしたいかって言ったら、ビートルズでもストーンズでも何でもいいから、コイツになりたい、と。それでギターを覚えたりドラムを覚えたりして、次に何をしたいかって言ったら、コイツと同じようになりたい、つまりライヴをしたい、と。それは変わらないんだよね。俺たちはステージに立つのが好きだし、結局ライヴをやりたいから。で、伝えたいことがあるから曲を作ってるわけで。
 伝えたいことがなけりゃカヴァーでいい、それが金になって生活できればね。でも、やっぱり俺たちは日本語で歌を歌っている部分には意味を持ちたいよね。だからやってるわけ。確かに年齢的にもキツくなっていくかもわかんないけど、どっちにしろ関係ないね。ファンから救ってもらってるよ」

――ステージで、リアルタイムでファンから返ってくるものを感じるわけですよね。
森山「オマエら元気やなぁ、とかね。フィフティ・フィフティ(50対50)なんだなと思う。俺たちがしゃかりきに頑張っても、(たとえば客席の反応が鈍くて)“何だ!?”と思えば、俺はすぐテンション落ちるよ。でも、体はしんどいけど、やっと辿り着いたこの街で、客がすごく待ってくれてて、すごくいいテンションで迎えてくれたら、そのキツさっていうのは吹っ飛ぶよね。すごくいいライヴになったりもするし。俺たちがコンサートをするんじゃなく、その屋根の下にいる全員が作るしか方法がない、と俺は思うけどね。
 だから、いい時もあれば、本当に悪いときもある。10何曲やって、歌詞10曲間違えてるとか平気であるし。でも、それもライヴの良さなのかな。俺の好きなバンドって、歌詞間違ってるしね。クラッシュの海賊盤なんか聴くと、もういきなり2番から歌ったりとかさ。でも俺は、それでいいんじゃないかなと思うわけ」

――北里さんはどうですか? ライヴの感覚というか。
北里「イメージとして、ライヴって汗と思うわけよ。ボロボロ汗かく。この間、PV(プロモーションビデオ)を撮る時に、お客さんはいないんだけど動いてるわけ。そうすると同じ汗が出る。でも決してイイ汗じゃない、喜びが伴わない汗なわけ。本当のライヴな汗っていうのは、ちょっとマゾヒスティックだけど、すごく美しいと思う。人間って、そういうところにはすっごく感じるよね。だから結局、みんながスポーツを観るのは、そういったところだと俺は思うっちゃけどね。そういうところに本当の美しさを感じられるっていうかさ。だから、それがないとできないね」
森山「できないね。ステージの上から見ると、みんないい顔してるよ。入り口は、好きだからできると思うんだよ。でも、ただ好きなだけだったらキツい思いはしなくていいわけ。それがキツくてもできちゃうっていうのは、そのキツさも長くやってたら平気になるというか、自分たちの中で当たり前と受け止められる。ステージに立った瞬間、みんなの顔を見た瞬間、忘れさせてくれる。だから、もっと伝えたいと思うし、もっと楽しんでほしいと思うし。やっぱり、それがやめられないと思うところじゃないかな」

俺が10代の頃に聴いた音楽でも
色褪せてないものはいっぱいあるから、
それを伝えていきたいよね。

――ちなみに、最近お気に入りのバンドって何かありますか?
森山「ハイヴス(THE HIVES)っていうバンドは最近好きやね。レコーディングの時期に、よく聴いた。友達から“あのバンドいいですよ”って言われて聴いてみて、つまんなかったりもするし、たまたまレコーディング前だとレコード屋に行くわけ。で、とりあえずジャケットがカッコイイやつとか、ふれ込みが書いてあるやつとか、あとは自分がPV見てカッコいいなって思ったやつをリサーチして買ったりとか、“ウワッ、懐かしい”っていうのを買ったり。そんな中で見つけたバンドもあるから、暇な時はなるべく音楽番組はつけてるね。一生懸命見るんじゃなくて、何となくつけておいて、リフとかが気になったら何てバンドかなとか、そういうことはしてる」
北里「ロックじゃないけど、ザ・レヴォネッツ(THE RAVEONETTES)っていうのは面白かったね。フィル・スペクターが今プロデュースしたらこんな感じになるのかなっていう、すごくポップでキュートな感じ。デンマーク出身だったかな? 北欧系は最近、強いからね」
森山「今、あっち系は面白いよね。下手にロンドンより、スウェーデンとかね。俺は嫌いじゃないね、あのへんのロックは」
――コアなモッズファンで、モッズ以外はあまり聴かない人もいるという話を聞いたので、そういう人に“メンバーもこういう新しいのを聴いてるんだよ”ってことが伝わると面 白いかなと思って。
森山「そういう意味で、カヴァーでやったりとかね。新しいものって、わりと敏感に反応できると思うわけ。でも俺が10代の頃に聴いた音楽でも、色褪せてないものはいっぱいあるから、それを伝えていきたいよね。でも、ステージの上だけでやるのは限度があるから、CDにしたり…。そういうのは今後もやっていきたいんだよね。本当に聴いてほしい。それで“なるほど、モッズが好きな理由がわかるな”とか“だからモッズはこういう曲が作れてるんだ”とかね」
――いいものを次の世代に伝えていくという、重要な役割もありますよね。
森山「カヴァーをやるっていうのは、それが一番よね。自分が歌いたいからというのももちろんあるけど、こういうバンドが以前いたんだよ、っていうか。でも、音源は絶対あるわけだから…まぁ、ないのもあるけど、わかりやすいと思うけどね。“モッズ、ここ取ってるな”とか(笑)、それでいいと思う」
――北里さんの場合、ライヴで1曲歌う時に北里さん自身のオリジナル曲がたくさんあるにも関わらず、オールディーズとかラモーンズとかのカヴァーをやる確率が結構高いですよね(笑)。
北里「結局、自分たちがロックファンなんだろうね。だから、その時は自分たちが楽しむためにカヴァーをやってるんだけど、それがそういう影響力をもってくれたら嬉しいよね、確かに」

世の中に対して面白いことじゃなくて、
まず自分たちが面白いことをやりたいよね。
やれる状況にはしたい。


――最後に、新しいスタートということで、もうやりたくないこと、またやりたいこと、新たにやりたいことがありましたら教えてください。
森山「自分たちのスタイルと合わないことをするのは良くないよね。カッコいいと思ったらやればいいし、違うと思ったらやらなきゃいい。まず、自分たちのベースをちゃんとやっていくことが一番大事だろうし、無理に背伸びして何かやっても、今はダメだと思う。自分たちが遊べて、その代わり、しっかりベースを持ってる、そういうスタイルをずっとやってきているつもりだから、それを曲げたくはないし。面 白い話がどっかから転がってきた時に考えればいいわけで、無理して自分から面 白い話を取ってこようとは思わない」
――頼もしいスタッフに囲まれてるし、イイ感じでやれてるわけですよね。
森山「やることに変わりはないと思う。スタッフサイドにおいては、まだまだ大変なこともいっぱいあるだろうし、それに対しては俺たちもより一層踏み込んでいかないとダメだろうけど、運良くいろんなサポートをしてくれる人が、事務所と関係ないところでもいるから。唯一、財産だよね。
 あとは自分たちが、しっかりアルバムとツアーをやれば、自ずと来年があるだろうし、再来年もあるだろうし。その中で、もっと楽しいことができるようになれば、もっといいよね。それはお金の問題もあるし、インディーになってもうお金がないからロンドン行かない、じゃなくて、またロンドンに行けるようになりたいし、それなりの気持ちは持っておきたい。
 ただ、世の中に対して面白いことじゃなくて、まず自分たちが面 白いことをやりたいよね。やれる状況にはしたい。今後は、いいタイミングで、俺たちが好きそうな系統のバンドを集めて何かやってもいいと思う。やみくもにイベントやってもつまんないけど、ちゃんとしたこだわりのあるイベントなら、やってもいいかな」

北里「ラッキーなことに、したくないならせんとけばいいじゃんっていう態勢にはおるわけだから。やりたいことっていうのは、森ヤンが言ったようにベースを守って、それを長く転がしていくというのが一番大切なことであって、それ以外で言えば個人的には、どっか旅行に行きたいなってぐらいかな。メンバーと遊びに行ったり、あとは海外ツアーとかも含めて。でも、そういった期間は大事やね。そういう意味で俺たちは結構恵まれてきたし、そういったスタンスはなくさないようにしたい。
 したくないことって言ったら、後悔の過去を増やしたくないっちゅうことぐらいやろうね(笑)。自分の反省も含めてね。だから今は、頑張り時だと思って、前を向いてしっかりやっていくしかないね」



NEW ALBUM 『COMPADRE』
ロッカホリック/RHCA-2/9月3日リリース/3,000円(税込)
《収録曲》 1.「Get In! Get Out!」 2.「Speedの果 て」 3.「F.T.W.“Fuck The World”(Shock and Awe Version)」 4.「Boom Box」 5.「Heartbreaker」 6.「Story」 7.「4NO 5NO」 8.「Espresso」 9.「Summer Days」 10.「Brother Joe」 11.「Keep Your Finger Free」

【THE MODS LIVE TOUR 2003“Los Compadres”】
9/10(水)川崎クラブチッタ
9/16(火)福井チョップ
9/18(木)神戸チキンジョージ
9/20(土)高知キャラバンサライ
9/21(日)松山サロンキティ
9/23(火)大分ドラムトップス
9/24(水)宮崎ウェザーキング
9/26(金)長崎ドラムBe-7
10/1(水)金沢AZホール
10/3(金)京都ミューズホール
10/5(日)名古屋ボトムライン
10/6(月)長野ジャンクボックス
10/9(木)熊谷ヴォーグ
10/12(日)郡山#9
10/13(月)山形ミュージック昭和セッション
10/15(水)秋田スウィンドル
10/17(金)青森クォーター
10/19(日)札幌ペニーレーン24
10/22(水)静岡サナッシュ
10/25(土)宇都宮ヴォーグ
10/28(火)水戸ライトハウス
10/31(金)渋谷アックス
11/2(日)福岡ドラムロゴス
11/5(水)広島クアトロ
11/7(金)大阪ビッグキャット
11/9(日)宮古島チョコレートホール
問 SWITCH ▲03-3796-3399(平日11:00〜18:00)

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※SAへのバンド出演依頼 、タイセイ(SA)含むBoo Zee LoungeクルーへのDJ出演依頼、 ブライアン・バートンルイスへのDJまたはMC出演依頼は、familiesまで。   ※本サイトへのご意見、ご感想はこちらへ